古橋亨梧はフランスの地で苦しみながらシーズンを終えた。セルティックでサポーターから愛されるヒーローだったのが遠い昔のようだ。

　ただ、古橋が特に躍動したのは、ブレンダン・ロジャーズ現監督の下ではない。日本から自身を引き抜いたアンジェ・ポステコグルー監督時代だ。爆発的な古橋の得点力は、日本人選手の評価を高め、その後の前田大然や旗手怜央らの移籍にもつながった。

　ポステコグルーが日本時代から知る古橋を重宝したのは周知のとおりだ。そしてそれは、ポジション争いのライバルだったギオルゴス・ギアクマキス（現クルス・アスル）を移籍に向かわせた。

　古橋と同じ夏にセルティックに加入したギアクマキスは、シーズン途中に日本人ストライカーが負傷離脱したこともあり、代役として活躍。リーグ得点王に輝き、チームの優勝に貢献した。だが、翌シーズン途中、浦和レッズ入りも取り沙汰されたなか、MLSのアトランタ・ユナイテッドに移籍している。

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　ギアクマキスは、ポステコグルーと古橋の関係から、セルティックに自分の未来はないと感じていたようだ。『Daily Record』で、「最初にリーグ優勝と得点王でシーズンを終えたとき、代理人に連絡して『出て行かなきゃ』と言ったんだ。彼は驚いたよ。『どういう意味だ？』とね」と振り返った。

「俺は言ったんだ。『この監督では出ていかなければいけないと感じているからだ。来季はプレーできないだろう。今季の出来は関係ない。俺は出ないはずだ。プレーすれば常に活躍できるのに。俺にふさわしくないことだ。俺はファンにとって王様。彼らを愛し、彼らも俺を愛している』」

「でも、どうなるか分かっていた。もう分かっていたんだ。以前の代理人は本当に信じてくれず、まったくオファーを持ってきてくれなかった。それでとにかくシーズンをスタートしたけど、自分が思っていたとおりになったんだ。キョウゴと監督の間には特別な繋がりがあったんだよ。違う面があったのかもしれない。監督が偽９番のほうを望んだのかもしれないけどね」

　ポステコグルーと古橋のスタイルは互いにマッチし、セルティックの現在の黄金期にもつながった。だが、前者はその後向かったトッテナム、後者はレンヌで苦戦している。そしてギアクマキスはもうスコットランドにはいない。

　現在はロジャーズの下、古橋に代わってCFとして前田がブレイクした。ロジャーズと前田の関係は、ポステコグルーと古橋のそれのように強固なものとなっていくのか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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