川崎フロンターレの下部組織で育った24歳のMF横田大祐がプレーするドイツの古豪カイザースラウテルンは、ブンデスリーガ２部32節でカールスルーエとのアウェー戦に挑み、２－２の引き分けに終わった。

　熾烈を極める２部の昇格争い。31節終了時点で首位に立つハンブルクから７位のカイザースラウテルンまでの勝点差はわずかに６。終盤にきて連勝するクラブが出ず、毎節順位が入れ替わる混戦状態が続いている。どこが抜け出しても、あるいはどこが脱落してもおかしくない神経戦だ。

　カイザースラウテルンは28節のマグデブルク戦から３連敗を喫すると、マルクス・アンファング監督の更迭を発表した。

　アンファングはチームの戦力と成熟度からまだ昇格を目指すところまで来ていないので、まずはチームの成長を考えるのが大事というスタンスだったが、昇格の可能性があるだけにそこをなんとか手放したくはない首脳陣と激突することになってしまった。果たしてシーズン終盤の監督交代が果たしてどんな影響を及ぼすのか。

　横田は「いや、僕もびっくりしました。自分が何か言えるあれではないですけど、流れを変えるきっかけになったのは事実ですし。それで昇格に向けて、ラスト２試合いけたらなと思います。(新監督からは)今までの自分のプレーをシーズン通して見てもらってたので、それをやってくれというのは初めてあった時に言われました」と話す。

　トルステン・リーバークネヒト新監督のデビューとなったシャルケ戦は２－１で勝利し、幸先のいいスタートを切った。そして迎えたのがこのカールスルーエ戦だ。ダービーに加えて昇格争いというスリリングな状況での試合だけに、激しい肉弾戦が続き、ロングボールの欧州になる時間帯もあった。

　そんななか、横田は中盤のスペースでうまく受けて攻撃の起点となったり、素早いドリブルで運んでチャンスをクリエイトする場面が多くあった。自身のプレーについて次のように試合後振り返っている。

「前半は自分の中ではスペースを見つけているつもりだったんですけどボールが来なかったり、あとはタイミングが合わなかったりしていた。後半それを修正できて結構フリーでもらえました。相手がついてこれない位置まで降りたり、タイミングよく間に顔を出して受けれて、そこで前向いて起点になれていったかなと思います」

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　ビルドアップで自陣深くまで下がるとそこからゴール前に顔を出すのは難しい。以前、横田はその辺りを自分の改善点として話していた。この日はビルドアップだけではなく何度もダッシュを繰り返し、前線に走りこんでいたのが印象的だった。

「前回の試合でそうやってゴール前に顔を出すことで点が取れたんです。走ればなんかなるという体験を実感したので、今日もそういうところに顔を出していけたらなと思って試合に出てました」

　32節終了時で自動昇格の２位以上とは勝点差が５となり、厳しくなったが、１部16位との入れ替え戦に回る３位までの勝点差は２とまだ射程圏内だ。

　次節、ホームのダルムシュタット戦に勝利すれば、最終節ケルン戦は「シチュエーション的にすごい試合になるかもしれないですね」と横田が語るように、これ以上なくピリピリする状況で迎えることになる。

　ここまで24試合に出場して４ゴール。大一番で求められるのは、もちろん結果だ。その結果を出す選手になる意欲にあふれている。

「なれたらいいですね」

　そう笑った横田の目には鋭い眼光が宿っていた。

取材・文●中野吉之伴

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