まるでおもちゃのように扱った
ラ・リーガ第20節。バレンシアは、久保建英を擁するレアル・ソシエダを1-0と下し、最下位から脱出している。劣勢の展開だったが、虎の子の1点を守り切った。
この試合、際だったのはキャプテンマークを巻いたルイス・ガヤだった。後半、左サイドでの久保とのマッチアップ。凄まじい気迫で挑み、危うい場面を作られながらも、土俵際で踏ん張った。そのスライディングタックルは限界まで集中し、魂がこもっていた。
そのガヤの戦闘姿勢が、本拠地「メスタージャ」の観客の心に火をつけた。
もともと、メスタージャは観客の熱気が選手に伝わりやすい。興奮度が高いスタジアムで、それを味方につけた時代、バレンシアは栄華を誇っている。メスタージャでは、選手の熱が観客に伝播し、それが増幅される形で、選手が受け止め、限界までプレーが引き出される、という構造があるのだ。
2000年代初頭、バレンシアは二度のチャンピオンズリーグ決勝進出、同じく二度のラ・リーガ優勝を経験している。メスタージャで、彼らは無敵に近かった。その強さを育むべきだったのである。
しかし空前の不動産バブルが、彼らの運命を変えた。クラブ幹部は行政と手を組んで郊外に新スタジアム建設を目論む。銀行の融資を得て、土地を買い、建設工事を着工。その代わり、市内にあるメスタージャを売り払おうとした。
何を血迷ったのだろうか。
2007年から始まった世界金融危機で、国内のバブルは呆気なく消えた。メスタージャを売るに売れなくなり、工事も頓挫。そして銀行が潰れ、莫大な借金だけが残った。2009年から次々に主力を売り払い(ビジャやダビド・シルバなど)、どうにかクラブを存続させたが…。
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この試合、際だったのはキャプテンマークを巻いたルイス・ガヤだった。後半、左サイドでの久保とのマッチアップ。凄まじい気迫で挑み、危うい場面を作られながらも、土俵際で踏ん張った。そのスライディングタックルは限界まで集中し、魂がこもっていた。
そのガヤの戦闘姿勢が、本拠地「メスタージャ」の観客の心に火をつけた。
もともと、メスタージャは観客の熱気が選手に伝わりやすい。興奮度が高いスタジアムで、それを味方につけた時代、バレンシアは栄華を誇っている。メスタージャでは、選手の熱が観客に伝播し、それが増幅される形で、選手が受け止め、限界までプレーが引き出される、という構造があるのだ。
2000年代初頭、バレンシアは二度のチャンピオンズリーグ決勝進出、同じく二度のラ・リーガ優勝を経験している。メスタージャで、彼らは無敵に近かった。その強さを育むべきだったのである。
しかし空前の不動産バブルが、彼らの運命を変えた。クラブ幹部は行政と手を組んで郊外に新スタジアム建設を目論む。銀行の融資を得て、土地を買い、建設工事を着工。その代わり、市内にあるメスタージャを売り払おうとした。
何を血迷ったのだろうか。
2007年から始まった世界金融危機で、国内のバブルは呆気なく消えた。メスタージャを売るに売れなくなり、工事も頓挫。そして銀行が潰れ、莫大な借金だけが残った。2009年から次々に主力を売り払い(ビジャやダビド・シルバなど)、どうにかクラブを存続させたが…。
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2014年にリムがオーナーになって経営面は一時、安定したが、会長、スポーツディレクター、監督のクビを次から次に挿げ替え、まるでおもちゃのように扱った。これに批判が起こったが、後の祭り。クラブは力を削られるようにパワーダウンしてきた。
何時2部に降格してもおかしくなかったが、「ザ・消防隊長」と言われ、地獄(2部)の炎に焼かれそうになったチームを救ったボロがいた。2008年から7度にわたって、“途中登板”でチームを指揮。どうにかチームを救ってきたのだ。
2022-23シーズン、そのボロも火消しに失敗し、降格が迫った。そこで、OBであるルーベン・バラハがチームを残留させている。しかし、今や業火が迫っているのが現状で…。
自分たちが売り払おうとしたメスタージャだけが、バレンシアの最後の砦である。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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自分たちが売り払おうとしたメスタージャだけが、バレンシアの最後の砦である。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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