「怪我自体に痛みはなかったし、最初は目標を失いかけた」(鈴木武蔵)
出番が回ってきたのは、79分だった。
6月5日のナビスコカップ・福岡戦で左太腿の肉離れから復帰し、前節の大宮戦で今季リーグ戦初出場を果たした鈴木武蔵は、2試合連続で途中出場。右サイドハーフに入り懸命にボールを呼び込んだが、限られた出場時間で結果を残せず試合終了を迎えた。
FC東京に主導権を握られ劣勢に立たされていたこともあり、大宮戦に続きシュートは0本。「もっと攻撃したかったし、もっと冷静にパスを回せたところもあったので、そこで自分たちが慌てていた。相手の勢いに負けてしまった部分はあります」と振り返る表情には、当然ながら充実感はなかった。
今季開幕前、左太腿を肉離れし全治約3か月と診断された。チームでのレギュラー争いはもちろん、8月のリオ五輪代表候補でもある鈴木にとって、この時期に負った怪我は痛手だった。
「怪我自体に痛みはなかったし、信じがたかった。最初は目標を失いかけましたね。でも、(リハビリを)やっていくうちに、怪我に対する恐怖心とか、自信もついてきた。少しずつ、最後までやり続けなきゃと思いました」
何事にもめげず、懸命にリハビリに取り組んだ結果、5月下旬の練習試合で実戦復帰へ漕ぎ着け、先述したナビスコカップで公式戦初出場。その試合で、CKからヘディングでゴールも決め、復活をアピールした。
その後、リーグ戦での2試合ではインパクトを残せず、目標とするリオ五輪メンバー入りに向け、微妙な立場に変わりはない。7月1日の本大会メンバー発表まで、残り1週間ちょっと。公の場でアピールする機会は、次節のリーグ戦(鳥栖戦/H)しかないが、最後まで「奇跡」を信じて戦う覚悟だ。
「可能性はゼロではないし、もう一回怪我をしないことだけを意識して戦っていきたい。OA(オーバーエイジ)があってもなくても厳しい選考なのでそこはやるしかないし、とにかく(メンバーに)選ばれたいという気持ちを強く出したい。最後はそこですかね」
続けて、リオ五輪に馳せる想いについて、こう続けた。
「チームの立ち上げ当初から呼んでもらって、1月の最終予選ではアジア王者になって、出場権も獲得した。ここまでやってきたからには、オリンピックに出場したい気持ちは強いです」
思わぬアクシデントにより、目標達成への道程はだいぶ険しいものになった。それでも、手倉森ジャパンの「エース」とも称された男は、自らの信念を貫きながら前進し続ける。
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
6月5日のナビスコカップ・福岡戦で左太腿の肉離れから復帰し、前節の大宮戦で今季リーグ戦初出場を果たした鈴木武蔵は、2試合連続で途中出場。右サイドハーフに入り懸命にボールを呼び込んだが、限られた出場時間で結果を残せず試合終了を迎えた。
FC東京に主導権を握られ劣勢に立たされていたこともあり、大宮戦に続きシュートは0本。「もっと攻撃したかったし、もっと冷静にパスを回せたところもあったので、そこで自分たちが慌てていた。相手の勢いに負けてしまった部分はあります」と振り返る表情には、当然ながら充実感はなかった。
今季開幕前、左太腿を肉離れし全治約3か月と診断された。チームでのレギュラー争いはもちろん、8月のリオ五輪代表候補でもある鈴木にとって、この時期に負った怪我は痛手だった。
「怪我自体に痛みはなかったし、信じがたかった。最初は目標を失いかけましたね。でも、(リハビリを)やっていくうちに、怪我に対する恐怖心とか、自信もついてきた。少しずつ、最後までやり続けなきゃと思いました」
何事にもめげず、懸命にリハビリに取り組んだ結果、5月下旬の練習試合で実戦復帰へ漕ぎ着け、先述したナビスコカップで公式戦初出場。その試合で、CKからヘディングでゴールも決め、復活をアピールした。
その後、リーグ戦での2試合ではインパクトを残せず、目標とするリオ五輪メンバー入りに向け、微妙な立場に変わりはない。7月1日の本大会メンバー発表まで、残り1週間ちょっと。公の場でアピールする機会は、次節のリーグ戦(鳥栖戦/H)しかないが、最後まで「奇跡」を信じて戦う覚悟だ。
「可能性はゼロではないし、もう一回怪我をしないことだけを意識して戦っていきたい。OA(オーバーエイジ)があってもなくても厳しい選考なのでそこはやるしかないし、とにかく(メンバーに)選ばれたいという気持ちを強く出したい。最後はそこですかね」
続けて、リオ五輪に馳せる想いについて、こう続けた。
「チームの立ち上げ当初から呼んでもらって、1月の最終予選ではアジア王者になって、出場権も獲得した。ここまでやってきたからには、オリンピックに出場したい気持ちは強いです」
思わぬアクシデントにより、目標達成への道程はだいぶ険しいものになった。それでも、手倉森ジャパンの「エース」とも称された男は、自らの信念を貫きながら前進し続ける。
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)