多くの才能が膝や足首をやられてピッチを去った
1983年9月、カンプ・ノウでの出来事だ。
当時、バルセロナに所属していたアルゼンチン人FWディエゴ・アルマンド・マラドーナは、アスレティック・ビルバオのスペイン人DFアンドニ・ゴイコエチェアのタックルを受け、ピッチに崩れ落ちた。転がって、うずくまって動けない。左足首は折られ、付近の靱帯などは無残に断ち切られていた。
「足をへし折れ!」
比喩ではなく、本気でそういう指令が出されていたという。
ゴイコエチェアは背後から猛然と助走をつけ、身長185センチの巨体で飛び込んでいる。スパイクで足首を蹴りつけ、立っていられないほどに破壊した。
「私は勝利のために戦った選手の行為を誇らしく思う」
試合後、アスレティックを率いていたハビエル・クレメンテ監督はそう言って胸を張っている。もちろん、「足を折れ」と命じたことを認めていないが、悪びれた様子もなかった。むしろ、勝利をもたらす行為を正当化した。
今では考えられないが、荒っぽい時代だった。マラドーナに対してだけでなく、エースを潰す、というのは文字通り、破壊することだった。多くの才能が、膝や足首をやられてピッチを去っている。
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当時、バルセロナに所属していたアルゼンチン人FWディエゴ・アルマンド・マラドーナは、アスレティック・ビルバオのスペイン人DFアンドニ・ゴイコエチェアのタックルを受け、ピッチに崩れ落ちた。転がって、うずくまって動けない。左足首は折られ、付近の靱帯などは無残に断ち切られていた。
「足をへし折れ!」
比喩ではなく、本気でそういう指令が出されていたという。
ゴイコエチェアは背後から猛然と助走をつけ、身長185センチの巨体で飛び込んでいる。スパイクで足首を蹴りつけ、立っていられないほどに破壊した。
「私は勝利のために戦った選手の行為を誇らしく思う」
試合後、アスレティックを率いていたハビエル・クレメンテ監督はそう言って胸を張っている。もちろん、「足を折れ」と命じたことを認めていないが、悪びれた様子もなかった。むしろ、勝利をもたらす行為を正当化した。
今では考えられないが、荒っぽい時代だった。マラドーナに対してだけでなく、エースを潰す、というのは文字通り、破壊することだった。多くの才能が、膝や足首をやられてピッチを去っている。
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現代では、映像精度が上がったことで、そうした行為は許されない。VAR判定の導入により、悪質な行為には積極的にバツが下される。世間も、そうした行為を決して許さない。
時代は変わったのだ。
昔だったら、ヴィニシウス・ジュニオールは集中的に削られていただろう。自ら大げさに倒れてアピールし、相手をおちょくるプレーヤーは、荒っぽいディフェンスの的になる。おそらく、生き残ることはできなかったはずだ。
――あなたは本当にマラドーナの足をへし折るつもりでタックルしたんですか?
実は筆者は、マラドーナの足首を破壊したゴイコエチェアに直接、質問をしたことがある。
「昔の話さ」
ゴイコエチェアは鼻を鳴らして言った。
「ピッチは戦場なんだよ。男同士が限界までやり合う。それだけだ。ケガをさせるつもりなどなかった。自分はひとりの選手として、何も間違ったことはしていない」
彼は事実を認めなかったが、悪びれずに言った。今なら炎上する発言かもしれない。もっとも“事件”の当時も、ゴイコエチェアは「犯罪者」「人殺し」「ビルバオの肉切り包丁」と欧州中から吊し上げられたという。本人は「犠牲者も戦犯もいない。サッカーは危険と隣り合わせの戦いだ」という主張を繰り返したが...。
真相は、本人にしかわからない。
しかし、一つ言えるのはそんな過酷な世界で何度も復活を遂げたマラドーナは、やはりけた外れに恐るべき選手だったということだろう。現代の最強選手たちはその修羅場をくぐり抜けられたか。その答えも誰にも分からない。
文●小宮良之
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時代は変わったのだ。
昔だったら、ヴィニシウス・ジュニオールは集中的に削られていただろう。自ら大げさに倒れてアピールし、相手をおちょくるプレーヤーは、荒っぽいディフェンスの的になる。おそらく、生き残ることはできなかったはずだ。
――あなたは本当にマラドーナの足をへし折るつもりでタックルしたんですか?
実は筆者は、マラドーナの足首を破壊したゴイコエチェアに直接、質問をしたことがある。
「昔の話さ」
ゴイコエチェアは鼻を鳴らして言った。
「ピッチは戦場なんだよ。男同士が限界までやり合う。それだけだ。ケガをさせるつもりなどなかった。自分はひとりの選手として、何も間違ったことはしていない」
彼は事実を認めなかったが、悪びれずに言った。今なら炎上する発言かもしれない。もっとも“事件”の当時も、ゴイコエチェアは「犯罪者」「人殺し」「ビルバオの肉切り包丁」と欧州中から吊し上げられたという。本人は「犠牲者も戦犯もいない。サッカーは危険と隣り合わせの戦いだ」という主張を繰り返したが...。
真相は、本人にしかわからない。
しかし、一つ言えるのはそんな過酷な世界で何度も復活を遂げたマラドーナは、やはりけた外れに恐るべき選手だったということだろう。現代の最強選手たちはその修羅場をくぐり抜けられたか。その答えも誰にも分からない。
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