今季、橋本拳人がFC東京に復帰。古巣に戻ってくるのは実に４年半ぶりのことだ。沖縄キャンプ中のオンライン会見に対応した彼はロシアのロストフ、スペインのウエスカやエイバルで過ごしたヨーロッパでのキャリアを振り返って、印象的な言葉を残した。

「４年半前にFC東京からヨーロッパに行った時、ビッグクラブに行って、ワールドカップに出場して大きな選手になって（またFC東京に）戻ってくるという夢を持っていましたが、全て叶わなかったので。悔しい想いがすごくある」

　FC東京のアカデミー育ちで、そこからトップチームに昇格。ロアッソ熊本での武者修行を経てFC東京の主力に成長すると、2019年に日本代表に初選出される。同シーズンのJリーグではベストイレブンに選ばれるなど、ある意味エリートのような道を歩んできた。

　それでもヨーロッパでは成功は掴めない。「いずれはヨーロッパへ」というJリーガーも多いはずだが、そこで活躍できるのはほんのひと握り。橋本の言葉は、そんな厳しい現実を改めて教えてくれる。

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　現在、日本代表に名を連ねるメンバーの大半は、そんなヨーロッパで複数年に渡りプレーしている選手たちだ。猛者の集まりなわけで、そこに割って入るのは至難の業である。

　久保建英らがヨーロッパという戦場でプレーしているのは“特別”。そこで挫折を味わっている日本人選手のほうが明らかに多いはずだ。

　ただ、橋本の欧州チャレンジが決して失敗だとも思わない。かつて内田篤人はシャルケ時代にこんなことを言っていた。「ヨーロッパに行くだけで凄いです」と。橋本に是非、送りたい言葉である。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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