「ちょっとおかしいでしょ」

　バーレーン戦でボランチの役割をこなしつつ、２ゴールに絡んだ守田英正のプレーを見て、そう思った。体力もメンタルも削られる高温多湿（気温は現地時間の18時で36度）のなかで、あれだけ質の高いパフォーマンスを示すとは「化け物」だ。

　2024年９月10日（現地時間）、北中米ワールドカップ・アジア最終予選に臨んだ日本はアウェーでバーレーンに５-０と快勝。ほぼ完璧な試合運びの中で、ボランチとして申し分のない働きを見せたのが守田だった。

　前半から気の利いたボールの出し入れで日本の中盤にリズムをもたらし、チームが上手く崩せない局面では「落ち着け」というようなジェスチャーで味方を落ち着かせる。舵取り役を担いつつ、後半に入ると守田はバーレーンの動きが鈍くなってきたタイミングでゴール前にも顔を出した。瀕死のバーレーンにトドメを刺すかのように。

　２-０で迎えた61分に上田綺世とのワンツーから華麗なフィニッシュでチームの３点目を奪った守田は、その３分後、左サイドからの三笘薫のクロスに上手く合わせて追加点。グッとスピードを上げるタイミングがいずれも素晴らしく、その２得点はまさにバーレーンの守備網に風穴をあけるものだった。
 

　中国戦にフル出場し、バーレーン戦もスタメン出場。相当な疲労もある状態で、３-４-２-１システムのボランチとしてパスの受け手と出し手、フィルター役、さらにフィニッシャーもこなすのだから、やはり守田は「ちょっとおかしい」。

　勝負どころの見極めは抜群で、それはあのタイミングでの２ゴールが証明している。

　自らの２得点で勝利を決定づけた守田。中国戦前の囲み取材でのコメントが蘇る。

「もっと自分が勝たせる存在にならないといけない」

　バーレーン戦ではその意思がビンビンと伝わってきた。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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