パリ五輪の準決勝が現地８月５日に各地で開催され、スタッド・ドゥ・リヨンではU-23フランス代表とU-23エジプト代表が対戦。延長戦の末に開催国フランスが３－１で勝利し、ファイナルへ駒を進めた。

　フランスサポーターの大合唱、飛び跳ねることによる地鳴りのような音。試合後、現地の記者も選手たちに「スタジアムの雰囲気はどうだった？」と訊いていたので、当たり前の光景ではなかったのだろう。

　ファンの大声援に背中を押されたフランスは立ち上がりからボールを握った。最終ラインから丁寧に組み立て、CBが中盤に縦パスを入れると、インサイドハーフのジョリス・ショタールらが狭いエリアで受けて相手を引き付け、空いたサイドのスペースに展開する。

　しかし、エジプトは４バックに加え、中盤の２枚も最終ラインに下りてきて、ゴール前に６人が横並びになって守備ブロックを構築。フランスはこの固い守りを崩し切れず、１点が遠い時間が続くと、62分に一瞬の隙を突かれて失点する。

　後半も猛攻を仕掛けるが、シュートを打つ瞬間にエジプトのDFがしっかりと身体を当ててくるので、体勢を崩されてボールは枠内に飛ばず。またポストやクロスバーに何度も阻まれるなど、もどかしい時間が続いたが、83分にマイケル・オリースのスルーパスに抜け出したジャン・フィリップ・マテタが冷静にネットを揺らし、同点に追いつく。
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　そして延長前半の99分に再びマテタ、後半の108分には左からの折り返しに反応したオリースが左足でゴールに流し込み、３点目を挙げた。フランスの勝利への執念が逆転劇をもたらした。

　この試合で圧巻だったのがトップ下で先発した22歳オリースだ。今年７月にクリスタル・パレスからバイエルンへの移籍が決定した期待の俊英は、立ち上がりから積極的にボールを引き出して捌き、攻撃にリズムを生んだ。

　右サイドから何度も鋭くカットインして、シュートを放つなど、ピッチ上での存在感は凄まじく、アジリティ、テクニック、判断力が光り１ゴール・１アシストの活躍。フランスの若き人材の豊富さを改めて実感させられたゲームとなった。

取材・文●手塚集斗（サッカーダイジェストWeb編集部）

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