たかが３試合、されど３試合。J１リーグの３節を終えてFC東京は２分１敗と未勝利で、17位に沈んでいる。ここまでの相手（セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸）が厳しいとの声もあるが、果たしてそうなのか。優勝候補を叩いてこそ勢いに乗れるはずで、この開幕３連戦は極めて重要と個人的に捉えていた。なので、落胆を隠せない。

　勝敗以上に気になるのは、チームパフォーマンスの中身だ。得点源のディエゴ・オリヴェイラを抑え込まれると攻撃に厚みがなくなり、効果的な組み立て、崩しができない印象だ。ここまで３ゴールを決めている荒木遼太郎の活躍は光るが、その荒木も神戸戦では厳しいマークに苦しんでいた。

　ビルドアップの局面で気になるのは、サイドバックのアクション。右の長友佑都と左のバングーナガンデ佳史扶はいずれも周りとの連動が乏しく、敵最終ラインの裏に抜けるようなプレーも少ない。サイドは結局、仲川輝人、遠藤渓太、俵積田晃太、ジャジャ・シルバらの個人技に頼る傾向が強く、攻撃に幅も奥行きも出ない。

　ここまで流れるようなアタックは数える程度で、守備も安定していない。神戸戦では球際の競り合いで劣勢を強いられるシーンも結構あり、長友は「運で片付けられない」とコメントしている。
 

　ただ、希望はある。今後キーマンになりそうなふたりが、アタッカーの小柏剛と右サイドバックの中村帆高だ。ともに怪我が癒え、復調傾向にある彼らが巻き返しの切り札になり得るかもしれない。

　圧倒的なスピードでDFの背後を取れる小柏は、その走力と技術で攻撃に奥行きをもたらすことができるアタッカーだ。D・オリヴェイラとはまた違う武器でアピールできれば、相手の混乱を誘えるだろう。また、前線からのプレスも素晴らしく、守備面での貢献も大いに期待できる。

　中村はFC東京のファン・サポーターならご存知だろうが、昨季のJリーグ序盤戦で目を見張るパフォーマンスを披露している。躍動感溢れる攻め上がりでアクセントを付け、鋭いパスでチャンスを演出。また強度の高い守備で敵を潰せる力もあり、昨年４月に大怪我をするまでは「日本代表に選ばれるのでは？」と思っていたほどの実力者だ。

　現状の停滞感を打破するうえで、このふたりをそろそろスタメンで使ってもいいのではないだろうか。それで全てが解決するわけではないが、特定のメンバーに頼らず変化は求めたい。

文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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