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なんと6組中5組でトップに君臨。アジア杯で躍進する中東勢の“地の利”【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2024年01月22日

審判のジャッジが有利に働いたわけではない

日本撃破の番狂わせを演じたイラク。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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「地の利」

 中東カタールで開催されているアジアカップは、それを濃厚に感じさせる大会になっている。

 グループリーグ第2節が終わった段階で、グループAからFまでの6組で、なんと5組で中東の国がトップに君臨。開催国のカタールを筆頭に、イラン、イラク、サウジアラビアは連勝を収めて、すでに決勝トーナメント進出(ベスト16)を決めている。グループE首位のヨルダンも、たとえ最終節で負けても、同じ中東のバーレーンが勝ち上がることができる状況だ。

 グループBだけはオーストラリアが首位で、シリアが3位で低迷している。しかし彼らは入り組んだ内戦状態の国で、各国に散らばった選手を招集して戦う陣容だけに、3位はむしろ健闘しているに近い。最終節は最下位インドだけに、決勝トーナメント進出の可能性は十分に残っている。

 一方で、優勝候補筆頭だった日本はイラクに1-2と敗れたことによって、その後塵を拝している。高さやパワーもそうだが、戦術的な割り切りなど、予想以上の強敵だった。韓国もヨルダンに2-2と勝ち切れず、得失点差でリードされる始末だ。

「中東の笛」

 よく言われるような審判のジャッジが、有利に働いたわけではないだろう。今回はVARを導入しているだけに、露骨な判定はできない。

 多くの国が欧州から監督を招聘し、戦術的に成熟しつつあるのもあるが、やはり選手が気候や風土に慣れているのは大きいだろう。ストレスのないプレーで、メンタル的に先手を取れる。ピッチ上の戦いには、移動や時差や食事のような大きなものから使用するボールや芝生や空気まで、様々な要素が影響しているのだ。

【PHOTO】カタールで開催中のアジアカップを盛り上げる各国サポーターを特集!
 カタールは砂漠に建てられた国であり、砂嵐は避けられず、絶えず空気中に砂が舞っている。それは粘膜を刺激し、小さく蓄積したダメージにもなる。呼吸器系がおかしくなる場合もあるだろう。

 中東の選手たちは、“砂漠”での戦いに対する適応力が高い。

 カタール・ワールドカップでも、世界王者になったアルゼンチンを唯一、撃破したのが中東のサウジアラビアだったことは、決して偶然ではない。また、同じイスラム圏で、気候条件で言えば似ているモロッコはスペイン、ポルトガルを撃破し、3位決定戦まで勝ち進む快挙を作った。

 カタールのスタジアムで、中東の選手たちは“中東代表”のように声援を受けられる。地理的に近いため、応援に来られる人数も自然と多くなる。そもそも、カタールには近隣諸国からの出稼ぎの中東人が大勢いるのだ。

 ちなみに、カタールにいるカタール人は10%程度だと言われる。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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