カタールで開催されているアジアカップ2023のグループステージもいよいよ中盤戦に突入。いわゆる優勝候補たちは苦しみながらもきっちり白星スタートを切っており、波乱なき立ち上がりとなっている。
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　一方、グループＡでエンジンがかからないのが中国代表だ。初戦のタジキスタン戦、第２戦のレバノン戦はともにスコアレスドローで、守備陣は健闘しているものの得点力不足が顕著。国内ではアレクサンドル・ヤンコビッチ監督や代表選手たちへの風当たりが強くなっている。最終節は開催国カタールが相手。前回覇者で強敵ながら、カタールはすでに２連勝でグループ首位突破を決めており、中国にとっては３ポイント奪取→決勝トーナメント進出の好機だ。

　そんななか、韓国全国紙『中央日報』は現在の中国サッカーが抱える根本的な問題点を指摘した。「中国サッカーの不振が続いている。かつてはサッカー界を盛り上げようと天文学的な資金を投入したが、いまだ国際舞台で競争力を発揮できないのは、根本的な改革をせずに表面的な問題点ばかりに目を向けているからだ」と論じ、中国サッカー界で指導に当たった韓国人指導者の証言を紹介している。

　中国超級リーグの強豪クラブでヘッドコーチを務めた経験があるＡ氏は「中国人選手のなかには、驚異的な個人技をみせる者が何人かいた。だが、組織的な動きなどの戦術理解度が低すぎる。韓国人選手と比べるとかなり劣るだろう。よってチームにハイレベルな戦術を植えつけるのは難しかった」と回顧する。

　さらにＡ氏は、若くして中国代表に選出されて期待のホープともてはやされていたＤＦを指導。「守備者としての強さなどは素晴らしいが、例えばパートナーとどう連携するのかなど、基本的な動きから教えなければならなかった。基本技術の低さに驚いたことを覚えている」と明かした。

『中央日報』紙は「中国サッカーの根本的な変革のためには、『指導者の能力強化』が急務である。最終的に選手を発掘して育成する役割は監督の責任だが、中国サッカーは選手の強化を重視するあまり、有能な指導者の育成がおろそかになってきた」と主張する。
 

　2010年代に栄華を誇った広州恒大（現・広州ＦＣ）で監督を務めた韓国人監督、イ・ジョンス氏も当時を振り返った。「レアル・マドリーをはじめとするヨーロッパの名門クラブから指導者を招聘し、選手たちに指導させた」とエピソードを持ち出し、「最先端のトレーニングを受け入れること自体は有意義な試みだったが、その意味や目的をきちんと理解していない。ただ付いていくだけだったため、彼らが去ったあと、中国の指導者に残された遺産はあまりなかった」と私見を述べた。

　そして、前述のＡ氏は「目の前の結果に一喜一憂する中国サッカー界の風潮も、サッカーの発展を阻む弊害となっている」と言及。「私の契約時には、『シーズン中に３連敗以上したら、いつでもクビにできる』といった条項が盛り込まれていた。長期的な視野に立ってチームを改善する“時間”が保証されていない。そんな状況下にあって指導者は、競争力の強化よりも“サッカーで負けないこと”に注力するほかない」と話している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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