浦和の岩尾憲は試合前、久しぶりにボランチでコンビを組む柴戸海に「やりやすいようにやればいいよ」と声をかけた。

　10月11日に行なわれたルヴァンカップ準決勝の第１戦で、浦和は横浜と敵地で対戦した。

　ゲームが始まると、中盤の２人は普段の伊藤敦樹と岩尾が見せる縦の関係ではなく、片方が攻め上がる時は片方が下がるという、横並びで互いにカバーし合いながら、良いバランスを保ち続けた。その結果、リーグ屈指の攻撃陣を誇る横浜に、バイタルエリアへの進入を簡単には許さなかった。

「（柴戸）海が敦樹と同じことをやっても仕方がない」と話したのは岩尾。久々の先発となった柴戸だが、持ち前の守備力とカバーリングの早さを活かし、守から攻のスイッチ役としての働きをまっとう。隣の岩尾と補完し合う関係性が“らしさ”を見せた要因となった。

　柴戸自身も心地良くプレーできていたようだ。

「状況を把握して、試合の流れを見ながらゲームを進めてくれる。（岩尾）憲さんを軸に自分が動き回る役割があったので、やりやすかった」
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　さらにゴールを奪うチャンスも訪れた。50分、右CKをホセ・カンテが頭で流し、ファーに顔を出した22番がフリーで右足を振る。しかし、上手くミートできず、枠にボールを飛ばすことができなかった。「決めないといけなかったし、それが結果に出たのかなと思う」と柴戸は悔しさを滲ませる。

　内容は悪くなかったが、チームは０－１の敗戦。浦和はここ２年、ルヴァンカップでベスト４に名乗りをあげるも、その上のステージには進むことができていない。３度目の正直を期す今季も、敵地で第１戦を落としてしまった。

　それでもスタジアムへ駆けつけた浦和サポーターは、第２戦での逆転を信じて後押ししてくれた。

「本当に力になるし、この人たちの想いに応えたいというのがある。それを埼スタのピッチの上で表現したい」

　岩尾とのコンビで感じた手応えを、次は結果で示したい。そして、サポーターと歓喜の瞬間を迎えるために。ホームの埼玉スタジアム2002で迎える第２戦は10月15日。柴戸のリベンジに期待だ。

取材・文●藤井圭（サッカーダイジェストWeb編集部）

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