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主導権を握る4-3-3、堅守速攻型の5-3-2、ペップの3-2-4-1... フォーメーションは形に過ぎない

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2023年10月08日

魚鱗でありながら、鶴翼の実体を持っている

グアルディオラが率いるシティは変幻自在の攻撃を見せる。(C)Getty Images

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 サッカーにおけるフォーメーションはしばしば、自分たちが優位か、不利か、で決定される。得点をできるだけ多くとるための編成か、失点をできるだけ少なくするための編成か、と置き換えてもいい。それは布陣を決定する監督のキャラクター、性格とも言えるのだが...。

 自分たちが主導権を握った戦いの一つには、単純にボールプレーに長けた選手を要所に配し、ウイングで仕掛け、崩すことである。前がかりに選手を展開し、スペースを優位に使い、ゴールに迫る。相手の守りを一つひとつはがすような戦いで、技術で上回り、ノックアウトするのだ。

 バルサが伝統的に用いる4-3-3は典型と言える、昨シーズンで言えば、ミケル・アルテタ監督のアーセナル、ユルゲン・クロップ監督のリバプール、イマノル・アルグアシル監督のレアル・ソシエダ、キケ・セティエン監督のビジャレアル、マウリツィオ・サッリ監督のナポリなども該当するか。もっとも、レアル・ソシエダは4-4-2の中盤ダイヤモンドで、より攻撃に手数をかけ、相手を蹂躙する布陣と併用だった。

 対極的なフォーメーションがある。

 主導権を握らず、結果への効率に特化した配置。相手の攻撃ありきで、はがされかけてもカバーし、分厚く守り、敵が焦ってきたら誘い込んでせん滅し、一気にカウンターに転じる。相手を動かすことで、隙を突いて勝機を窺い、とにかく失点するリスクを極力避ける。「縦に速いサッカー」と称せられるものは、この類であることが多い。

 イタリア人監督は人の置き方に違いはあれども、この概念への傾倒がある。アントニオ・コンテ、シモーネ・インザーギなどは堅牢な守備とトップの人材力を生かす布陣で、主力の高さと得点力の高さを誇る。5-4-1、あるいは5-3-2で、中央は分厚く守りながら、サイドには遊撃兵のようなウイングバックを好み、リスク排除の観点から“閣外”で仕事をさせるのも特徴だろう。昨シーズンは、ヨーロッパリーグで準優勝したジョゼ・モウリーニョのローマ、あるいはディエゴ・シメオネ監督のアトレティコ・マドリーが代表例だ。

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 勝負を決するところでは、サッカーも兵法も共通している。

 例えば鶴翼の陣は、鶴が翼を広げたように展開する布陣だが、兵力差、戦力差を生かす。左右に大きく展開し、敵を包み込みせん滅。両翼の戦いを制することで、綻びを広げる。一方、魚鱗の陣は、中央の守りを分厚くし、鱗をはがされても急所へ辿り着かせない。攻撃は魚の口で相手を食い破るように、先鋒の疾風迅雷で敵本陣を突いて決着をつける。

 ただ、布陣は形に過ぎない。例えばジョゼップ・グアルディオラのマンチェスター・シティの3-2-4-1という布陣は、魚鱗でありながら、鶴翼の実体を持っている。

結局は、ピッチに立つ選手こそが戦い方を決定するのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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