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森保Jのドイツ戦4発完勝に強烈な危機感。パリ五輪のエース候補・斉藤光毅は、自分らしさを貫いてバーレーンとの大一番に臨む

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2023年09月11日

悔しさよりも“やらないといけない”

初戦は2アシストの活躍もノーゴール。最後のバーレーン戦で、斉藤は目に見える結果でインパクトを残せるか。写真:松尾祐希

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 ドイツのヴォルフスブルクから約5700キロ。パリ五輪を目ざすU-22日本代表が酷暑のバーレーンで熱戦を繰り広げている。

 A代表が昨冬のカタール・ワールドカップでの対戦に続き、国際親善試合でドイツから勝利を挙げた。4-1の快勝劇は、U-23アジアカップ予選(パリ五輪の1次予選)を戦うU-22世代の選手にも刺激になっており、目の色を変えて“次は俺たちだ”と言わんばかりに闘志を燃やしている。

 昨年3月のチーム発足当初から主軸を担うMF斉藤光毅(スパルタ)もそのひとりだ。9日に行なわれたパレスチナとの第2戦(1-0)はターンオーバーの関係で出番を得られなかったが、“兄貴分”たちの活躍は自身を奮い立たせる要因になっている。

 だが、単なる憧れで“凄い”と思っているのではない。「自分自身の刺激になっているし、チームとしても刺激になっていると思う。4-1でドイツに勝って、『凄いぞ』となっているけど、自分はちょっと想うところがある」。具体的には何を思っているのか。斉藤は言う。

「自分もやらないといけないと思わされる。(A代表の選手が)活躍すればするほど、もっとやらないといけないと感じるし、悔しいというよりも『やらないといけない』という気持ちが芽生えるんです」

 斉藤はU-22代表でも、オランダリーグ1部のスパルタでも、4-3-3や4-2-3-1の左サイドを任されている。そのポジションは、A代表で最も熾烈な争いが繰り広げられており、ブライトンのMF三笘薫がクラブや代表でセンセーショナルな活躍を見せれば、ランスのMF中村敬斗も成長著しい。

 また、今回の欧州遠征には招集されていないが、MF南野拓実もモナコで絶好調。開幕4試合で3得点・3アシストをマークしており、それでもA代表入りは掴めない状況に置かれている。

 実際に斉藤は昨シーズン、26試合で7ゴール・5アシストを記録している。しかし、U-22代表に呼ばれる一方で、A代表からは一度も声が掛からなかった。
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 今季も開幕3試合で2ゴールを奪っているが、主戦場はU-22代表。そうした現状があるからこそ、“悔しい”という感情よりも“もっとやらないといけない”という危機感があるのだ。

 だからこそ、今回のU-23アジア杯予選は結果を出すことはもちろん、誰よりもインパクトを残す必要がある。

「A代表を含めて、2列目はすごく激戦区だし、まあ自分のチームでも代表チームでも良いプレーをして、結果を残さないと生き残れないし、突き抜けられない」

 その言葉からも覚悟が窺える。ただ、本人は自然体で構えてもいる。

「誰かが結果を残したら、自分も取らないといけないという気持ちになるのは事実。だけど、自分がやりたいプレーをすることが重要だと思っているので、あまり気負いせずにやっていきたい」

 12日に控えているバーレーンとの最終戦は、予選突破を懸けた大一番。グループ1位と、2位の上位4か国が本大会に進めるレギュレーションとなっており、引き分け以上で首位通過が決まるが、ラストマッチは勝利を掴んで次のステージに進みたい。

 パキスタンとの初戦(6-0)は2アシストを決めた一方で、ゴールは0。プレッシャーが懸かる最終戦で結果を残せれば、A代表入りを目ざす斉藤にとって大きなアピールになる。

 気負わず、焦らず、冷静に――。「ゴール前のチャンスが少なくなればなるほど、強引にならざるを得ないので、しっかり狙っていきたい。ただ、(状況をしっかり判断して)最善策というのを選んでやっていきたい」と語るパリ五輪のエース候補は、自分のプレーを貫き、大一番に臨むつもりだ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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