［高校選手権３回戦］東山１ー０ 高川学園／１月２日／県立柏の葉公園総合競技場

　東山（京都）が高川学園（山口）を下し、ベスト８へ駒を進めた。

「相手の得意とするセットプレーで得点を奪うことが、よりダメージを与えることになる」と語る東山の福重良一監督の狙いどおり、開始２分に得た最初のセットプレーのチャンスを活かす。

　CKからSBの石井亜錬が押し込み幸先良く先制すると、後半11分にはMF真田蓮司が追加点を挙げ、２－０の完勝を収めた。

　この試合で東山の狙い通りの戦いを支えたのが、２点目を記録した真田と松橋啓太のダブルボランチだ。

　前回大会で“トルメンタ（スペイン語で嵐の意）”と名付けられたセットプレーで旋風を巻き起こした高川学園のお家芸を、後半途中まで完璧に封じ込めた。

　両SBの石井や仲里勇真などが次々とオーバーラップを仕掛けるなか、ダブルボランチは阿吽の呼吸でポジションを取り、相手のクリアボールを次々と回収。さらに巧みなボール捌きから２次攻撃へとつなげるなど、敵陣内に押し込むことに成功した。

　後半21分には自陣中央でFKを与え、キッカーがグルグルと回るトルメンタの新技を見舞われるが、冷静に対処。このほかで許したセットプレーはCKの１本だけだった。
 

　そんな東山の“心臓”とも言えるダブルボランチは、ピッチ外でも阿吽の呼吸を見せる。

「（真田）蓮司とは２年生時からコンビを組んでいて、どちらがどんな役割をこなすか、声をかけなくても分かる」と松橋が語れば、真田もこう続ける。

「２年の時からずっと一緒にやっているので、特に話すこともない。お互い分かり合っているので、良い関係ができている」

　また、次戦への意気込みを聞くと、真田は「去年ベスト８で負けていて悔しい想いをしているので、日本一になるために次の試合を勝たないといけない。一つひとつの試合に集中していきたい」と前回大会で優勝した青森山田に１－２で逆転負けを喫した試合を引き合いに出し、「他のプレーではミスもあって上手くいっていないシーンもあった。もっとレベルを上げていければチームに貢献できると思う」と語る。

　一方の松橋も、「（青森山田は）身体も強くて、パススピードも僕たちとはレベルが違った。すべての部分で去年からレベルアップしてきた。去年負けてから、リベンジして日本一になるのを目標にやってきた。１年で大きく成長したところを見せたい」と意気込んだ。

「去年出ていた選手たちがチームを引っ張るのは当たり前のことだと思うし、最後まで声掛けを続け、走り抜く」（松橋）とチームへ与える影響も絶大だ。

　前回阻まれた準々決勝の壁を破り、目標の日本一へたどり着けるか。C大阪に内定している阪田澪哉らを擁する豪華攻撃陣を支えるダブルボランチに注目だ。

取材・文●渡邊裕樹（サッカーダイジェスト編集部）

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