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無残な開幕戦……組織力は低く、本田は消え、新加入選手も不発――フィオレンティーナ 2-0 ミラン

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年08月24日

何も良いことなく開幕戦を落としたミランはどう上昇するのか。

残念だった途中交代。もっとも、本田が残っていたとして、フィオレンティーナにどれほど対抗できただろうか……。 (C) Getty Images

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 2015-16シーズンのセリエAが開幕。ミランは敵地でフィオレンティーナと対戦し、0-2で敗れた。黒星スタートは2シーズンぶりのことである。
 
 17日のコッパ・イタリア3回戦でペルージャに快勝したミランだったが、やはりセリエBのチームと、Aのチームでは全く違っていた。しかもフィオレンティーナは、昨シーズン4位。10位のミランにとっては格上の相手であり、実際に試合は、その順位が反映される内容となった。
 
 序盤からピッチを広く使い、6人の中盤選手が素早くパスを繋ぐフィオレンティーナの攻撃を、ミランは抑えることができない。簡単にペナルティエリア手前までの侵入を許し、何とか最終ラインで凌ぐ様は、昨シーズンと何ら変わりなかった。
 
 攻撃では、カルロス・バッカとルイス・アドリアーノの新加入2トップと、トップ下・本田圭佑のコンビネーションに期待がかけられたが、フィオレンティーナの守備陣にFWふたりがしっかりマークされ、効果的な攻撃を見せることができない。
 
 また、序盤は慎重だったミランは、武器である両SBの上がりも少なかったため、攻め手がなくなってしまった。相手がしっかりと守備網を張って待ち受ける状況では、自由に動けるトップ下が状況を打開する必要があるが、本田は周囲の動きがあってこそ活きるタイプであり、この状況では成す術がなかった。
 
 それでも彼は、これまで通りに精力的なプレーでチームに貢献していた。自陣深くまで戻って執拗に相手を追い回したと思えば、次の瞬間には前線まで走り込んでボールを待つという動きの多さを見せていた。
 
 しかし36分、CBロドリゴ・エリーがDFラインの裏に抜け出そうとしたニコラ・カリニッチを倒してこの試合2度目の警告を受けたことで、彼だけでなく、本田もピッチを去ることを余儀なくされてしまう。代わりのCB(クリスティアン・サパタ)を入れるためだった。
 
 献身的な本田を残し、2トップのどちらかを下げるという選択肢もあったはずだが、シニシャ・ミハイロビッチ監督はおそらく、FWをひとり下げれば相手守備陣に封じ込められ、完全に攻め手を失ってしまうことを危惧したのかもしれない。“フリーマン”の本田を外し、残りの選手でしっかり守り、攻めることを選んだのだろう。
 
 しかし、指揮官の望みは叶わなかった。ミランは以降、さらにフィオレンティーナに押し込まれ、最後まで主導権を握られたままで終わったのである。
 
 翻弄され、これに対応しきれずにCBが退場となり、そのファウルで与えたFKを決められ(マルコス・アロンソの鮮やかな一発だった!)、ひとり少ない状況でさらに振り回されて追加点を献上、そして疲れきって何の反撃できないまま試合を終えるという、最悪の展開・結末に終わった。
 
 54分にフィオレンティーナが挙げた追加点は、右サイドから侵攻したヨシプ・イリチッチが倒されて得たPKによるものだが(決めたのもイリチッチ)、彼を倒したのが、ミハイロビッチ監督が獲得を熱望した期待のCBアレッシオ・ロマニョーリだったというのも、象徴的というか、皮肉というか……。
 
 しかし、ミランの問題は最終ラインではない。むしろCBはよくやっていたし、信じられない凡ミスをたびたび犯していた昨シーズンのDF陣に比べれば、個々のプレーについては安心して見ていられたものである。
 
 壊滅的だったのは、中盤の守備だ。相手の攻撃を絞り込むができないため、MF陣は簡単にかわされていった。昨シーズンはどの試合でも激しいタックルやチャージを何度も見せたナイジェル・デヨングですら、存在感が薄かったほどである。
 
 新加入のアンドレア・ベルトラッチ、そしてジャコモ・ボナベントゥーラにいたっては、守備では空気も同然と言えるほどで全く効果がなく、攻撃でも起点となるようなプレーはほとんど見せることができなかった。
 
 両選手とも、本来は攻撃で持ち味を出す選手であり、現時点でのミランには、この陣容は無理があるのかもしれない。あのレアル・マドリーですら昨シーズン、攻撃選手で中盤を埋めるやり方を採った結果、タイトルを逃してしまったのだから(あのカルロ・アンチェロッティが監督だったにもかかわらず、だ)。
 
 では、このふたりよりも守備に秀でた選手は? リッカルド・モントリーボ、アンドレア・ポーリ、アントニオ・ノチェリーノ、ジョゼ・マウリ……いずれも決して悪い選手ではないが、現状では全幅の信頼を置けるというところまではいかない。
 
 現在、ズラタン・イブラヒモビッチ、マリオ・バロテッリ、ロベルト・ソリアーノと、攻撃選手の獲得に執心しているミランだが、中盤の陣容にバランスの良い厚みを加えなければ、たとえミハイロビッチ監督の戦術が浸透したとしても、彼らが望む結果を得るのは難しいかもしれない。
 
 組織プレーの欠片も見られず、本田は突如ピッチから姿を消し、期待の2トップはバッカが消極的なプレーに終始してL・アドリアーノは終始苛立ちっぱなし……当事者にとっても、見る者にとっても、何も良いことがないまま、ミランは開幕戦を落とした。

 悪夢に終わった昨シーズンは、開幕戦でラツィオに快勝して序盤戦は好調だったが、果たして今シーズン、ここからいかに上昇していくのだろうか。

ユベントスがウディネーゼに敗れるなど、今シーズンのスクデット争いは混沌とすることも予想されるが、そこにミランが加わるのは……今のままでは難しい。写真はフィオレンティーナの2点目が決まった後。 (C) Getty Images

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