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ベトナム戦“勝利”は評価されるべきも見たかった三笘、前田、旗手らの登用。次のオマーン戦で期待したい周囲の“空気”を変える采配【コラム】

カテゴリ:日本代表

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年11月12日

トラブルに見舞われたが、ベトナムにキッチリ勝利

ベトナムにアウェーで勝利した日本。次はオマーンに移動し、11月の2連勝を目指す。写真提供:JFA

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 11月11日、日本代表はカタール・ワールドカップのアジア最終予選の第5戦として、敵地のミーディン国立競技場でベトナムと対戦し、1-0で勝利した。

 2勝2敗でオマーンと勝点6で並んでのグループBの4位。グループAとグループBに分かれて戦う最終予選において、本大会の出場権を得られるのは各組上位2か国の計4か国。アウェー連戦としてベトナム、オマーンと対戦する11月の2試合は勝点6を上積みすべきゲームとなった。

 その意味ではグループ最下位のベトナムに最少得点でも勝ち切った点は、結果がなによりも求められる最終予選では小さくない前進である。もっとも今後を踏まえれば、内容でも結果でも、より圧倒したかったのが本音だろう。

 オランダからのチャーター機の到着が遅れ、11人の選手が参加できたのは前日練習のみと、“ぶっつけ本番”で臨んだ背景はあった。それでも森保一監督は「選手たちの様子を見ていないと、コンディションが悪いと考えられると思いますが、(実際に)11人の顔を見たときに、良い顔をしていて、疲れた様子が見られませんでした。長時間機内に閉じ込められた状態でしたが、そこで上手く切り替え、(機内で)休養などにあててくれました」と、その中から吉田麻也、冨安健洋、伊東純也、南野拓実、守田英正の5人の先発起用を選択。

 準備時間が限られ、詳細なトレーニングができないなかで、劇的な勝利を挙げた10月のオーストラリア戦からメンバーを入れ変えたのは「ベトナム戦をプレーするのは難しいという報告を受けていた」(森保監督)という酒井を山根視来に代えた右SBのみ。事前に綿密な動きの確認をできなかっただけに、オーストラリア戦のメンバーをそのままスライドするのが、流れを汲む意味でも、最適と考えたのだろう。

 3敗目を喫すれば、ワールドカップ出場が厳しくなるなかで、前述したように1-0の勝利である。指揮官の選択は結果につながったと言える。

 コンディションの厳しいなかでの選手たちの奮闘も称えられるべきで、10月と同じ顔ぶれで、採用して2試合目の4-3-3の機能性を高めることも先決したのだろう。現にインサイドハーフで2試合連続で出場した守田は「(システムとして)まだまだ詰めなくてはいけない部分は多い」と振り返っている。

 決勝弾は大迫、南野、伊東の3トップ全員が絡んだ形で、中盤の3枚、田中碧、守田、遠藤を軸にしたボール回しもオーストラリア戦同様に良さが見えるシーンはあった。従来の4-2-3-1に比べれば、躍動感が戻ってきた印象はある。
 しかし、だ。チームは常に競争原理が働き、新陳代謝を高めていかなくては、前進が鈍ってしまうもの。この日のメンバーでは、コンディション面の配慮はあったのかもしれないが、三笘薫をベンチに座らせたままで、Jリーグでアピールしている、谷口彰悟、旗手怜央、前田大然、上田綺世らをベンチから外したのは、寂しさを感じた面である。

 後がない最終予選だけに、経験値の高い選手を起用する選択は十分に理解できるが、フレッシュなメンバーを抜擢し、チームに活力を与え続ける必要もあるのではないか。

 例えばベトナム戦のようにボールを持てる状態であれば旗手の左SB起用が生きた可能性はあり、追加点を奪いにいく状況で前田、三笘、上田らの思い切りの良さがチームを後押ししたかもしれない。彼らが溌溂とプレーすることは、既存戦力への刺激にもなるはずだ。

 なにより、最終予選を勝ち抜く難しさは理解しているが、ワールドカップ本大会でのベスト8以上を目指すチームである。適時、旬な選手を取り入れ、進化を求めたいところである。その意味で、ホームで敗れたリベンジの機会となる、次のアウェー・オマーン戦(日本時間の11月17日)で指揮官のグッとくるような采配には期待したいところ。そうした思い切った策が、どこか閉塞感を漂わせている周囲の空気を変えてくれるのではないか。

文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)


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