守備の選手がひとりもいない「J1王者」の補強となった。しかも、山形から移籍してきたパワフルなワイドアタッカー・キム・ボムヨンを除いた3人が前線の選手。広島の課題をどう捉えているか、なんとも分かりやすいオフ戦略である。
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しかも、新加入となった3人のアタッカーのうち、即戦力は宮吉拓実だけだ。ただ、柴﨑晃誠や柏好文、佐々木翔のような、「即レギュラー」を期待されての移籍とは少し毛色が違う。
2015シーズンの宮吉は、京都で33試合に出場して、4得点・3アシスト。高校1年生でJデビューした彼の才能からすれば、正直物足りない。実際、23歳という年齢は、浅野拓磨や野津田岳人の1年上。レギュラーの平均年齢が高い広島にとっては“新世代”で、「広島で才能を開花させてほしい」という期待感を持って獲得した選手だ。
そんな宮吉のこだわりは、シャドーというよりも1トップだ。
「京都ではサイドハーフや3トップのサイドでプレーしていたのですが、気持ちは1番前で勝負したい。広島には(佐藤寿人選手という)最高の選手がいるので、学ぶことも多いはず」
ただ、スルーパスが鋭い森島司や、ドリブルが輝く長沼洋一も含め、今の広島でポジションを奪うのは難しい。宮吉がこだわるFWには佐藤だけでなく、浅野や皆川佑介など実績組がズラリと揃う。シャドーには柴﨑が健在で、野津田岳人や森﨑浩司も負傷から戻ってくるし、茶島雄介もクラブワールドカップで力を見せつけた。
山形で実績を積んだキム・ボムヨンにしても、広島のワイドにはミキッチ、清水航平、柏好文と多士済々。高橋壮也のスピードや運動量もナビスコカップで証明済みだ。
新加入選手たちに必要なのは、昨シーズンの山岸智のように、どんな状況にあっても自分を信じて続ける愚直な姿勢である。その姿勢を失わなければ、チャンスが必ず訪れる。それは2015年の広島の戦い振りによって、証明されているはずだ。
なお、1次キャンプは1月25日から2月7日まで。鹿児島県霧島市で行なわれ、2月10日からは場所を宮崎に移しての2次キャンプが予定されている。
取材・文:中野和也(フリーライター)
■2016年メンバーリスト(1月14日発表)
★=新加入選手
Pos. | No. | 名前 |
GK |
1 | 林 卓人 |
13 | 増田卓也 | |
21 | 廣永遼太郎 | |
DF |
4 | 水本裕貴 |
5 | 千葉和彦 | |
19 | 佐々木翔 | |
23 | 吉野恭平 | |
26 | 川﨑裕大 | |
33 | 塩谷 司 | |
34 | 高橋壮也 | |
35 | 大谷尚輝★ | |
MF |
6 | 青山敏弘 |
7 | 森﨑浩司 | |
8 | 森﨑和幸 | |
14 | ミキッチ | |
16 | 清水航平 | |
17 | 野津田岳人 | |
18 | 柏 好文 | |
24 | 長沼洋一★ | |
25 | 茶島雄介 | |
27 | キム・ボムヨン★ | |
28 | 丸谷拓也 | |
29 | 森島 司★ | |
30 | 柴﨑晃誠 | |
37 | 宮原和也 | |
FW |
9 | ピーター・ウタカ★ |
10 | 浅野拓磨 | |
11 | 佐藤寿人 | |
22 | 皆川佑介 | |
31 | 宮吉拓実★ |