過去未勝利のブラジル戦に挑む日本代表 注目したい4つのポイント

カテゴリ:日本代表

五十嵐創(サッカーダイジェスト)

2014年10月13日

攻撃の活性化にアンカーのさらなる配球力が不可欠だ。

 10月10日のジャマイカ戦を1-0でモノにし、アギーレ新体制で初勝利を手にした日本代表は、同14日にブラジルとの対戦を控える。収穫あり課題ありのジャマイカ戦を経て、世界トップレベルの強豪に挑む日本はいかなる戦いぶりを見せてくれるのか。注目したい4つのポイントを挙げる。

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Point1)アギーレ監督が目指す堅守はジャマイカ戦で実現できたか?
 3試合連続で採用した4-3-3は、守備面ではおおむね機能していたと言えるだろう。徹底してリスクを排除した前半は、前線からの厳しいプレスでジャマイカのミスを誘い、ボールを奪ってはカウンターを発動していた。
 
 柴崎のクロスがオウンゴールを誘った16分の先制点や、本田がGKとの1対1を迎えた32分のシーンは、いずれも高い位置でのボール奪取からカウンターにつなげた形で、堅守速攻をモットーとするアギーレ監督の狙いが表現されていた。
 
 さらに言えば、カウンターを仕掛けた時の“準備”も見逃せない。例えば、中盤でのインターセプトから攻撃につなげた場面でも、SBのどちらかはオーバーラップを控え、CBコンビとアンカーの4人で守備のバランスを取っていた。これによって、スピードやパワーに優れたジャマイカのカウンターをほぼ完璧にケアし、ひとつの決定機も与えずに試合を終えている。長旅を強いられたFIFAランク100位相手では、圧倒的な力の差があったとはいえ、この点は評価できる。
 
 ブラジル戦でもこうしたリスクマネジメントは重視されるところだろう。
 
Point2)ジャマイカ戦で1ゴールに終わった攻撃面をどう見るか?
 一方、攻撃面は課題も多い。まずは、7つの決定機を作りながら、オウンゴールの1点だけに終わり、決定力不足を露呈した点。とはいえ、決定力は個人能力に頼る部分が大きく、チャンスを決め切れる選手を抜擢していく以外に解決策はない。
 
 幸いアギーレ監督は新戦力の発掘に前向きで、今回は川崎の小林、前回は広島の皆川とリーグ戦で好調な選手をメンバーに加えている。彼らのようなニューフェイスと岡崎、柿谷といった実力者を競い合わせるなかで前線の最適な組み合わせを探していくべきだろう。
 
 また、前半にカウンターでしかチャンスを作れなかったのも課題のひとつだ。気になったのは最終ラインからのビルドアップの質の低さだ。アンカーの細貝が起点になり切れず、前線に有効なくさびのパスを入れられなかった。インサイドハーフが主に前線のフォローに回る現状ではアンカーの配球力は不可欠。早急な改善が必要だろう。
 
Point3)香川不在のインサイドハーフに起用されるのは?
 香川がジャマイカ戦後に途中離脱したため、ブラジル戦では代役がインサイドハーフを務めることになる。では、誰が起用されるのか。
 
 前述のように押し込まれる展開が予想されるため、守備面での貢献を計算できる田中が入るだろう。ハードワークできるレフティMFで守備を固めて0-0の時間をできるだけ長く保ち、勝負どころで森岡や田口といった攻撃的な選手を投入する。守備の安定を最重要視する指揮官が用意しそうなプランだ。
 
Point4)ブラジル戦のテーマは? さらなる新戦力の起用は?
 ベストメンバーでないとはいえ、ブラジルは間違いなく世界トップクラスのチームだ。彼我の力関係から劣勢が予想されるなかで、アギーレ監督がスタメンから多くの新戦力をテストする可能性は低い。
 
 現時点での日本の実力を知る意味でも、ジャマイカ戦のメンバーがベースになるはずだ。戦術的にもジャマイカ戦の前半のようなノーリスクな戦い方を踏襲し、堅守速攻を実現できるかがテーマになるだろう。
 
 すべてのポジションに高い守備意識が求められるが、なかでも注目したいのはインサイドハーフの働きだ。相手にポゼッションで優位に立たれた状態では、インサイドハーフの守備面での仕事が確実に増える。そのなかで、攻撃に切り替わった時に、いかに前線に絡めるか。鍵を握るこのポジションのふたりには、ジャマイカ戦以上のハードワークが求められる。
 
文:五十嵐創(週刊サッカーダイジェスト)

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