【番記者通信】低調なエジルにも同情の余地|アーセナル

カテゴリ:メガクラブ

2014年03月04日

PK失敗で落胆するその姿に、ファンは落胆した。

シーズン終盤に差し掛かり、精彩を欠くエジル。エースの重責がのしかかっているのか。 (C)Getty Images

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 クラブ史上最高額となる4240万ポンド(約60億円)の移籍金で加入したメスト・エジル。シーズン序盤は期待通りのインパクトを残したが、ここにきてパフォーマンスの質が大幅に低下している。顕著だったのが、バイエルンとのチャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント1回戦・第1レグ(2月19日/0-2)。前半にPKを失敗すると、その後は存在感をほとんど示せなくなった。

 必勝態勢で臨んだはずのビッグマッチで、エジルの出来は試合を通して到底褒められるものではなかった。PKの失敗は、どんな名手にもありうることだ。私が指摘したいのは、失敗後のエジルの落胆ぶり、そしてミスを引きずって最後まで精彩を欠いた点だ。ミスを犯しても、素早く持ちを切り替える。プロサッカー選手として最低限必要なことだ。すっかり意気消沈してしまったエジルに、アーセナルファンが落胆したのは当然だろう。

 最近はずっと低調なエジルだが、同情の余地はある。そのひとつが、プレミア挑戦1年目であるという事実だ。ティエリ・アンリやデニス・ベルカンプ(クラブOBのレジェンド)、あるいはクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・U)のような名手たちでさえ、接触プレーが激しく、攻守の切り替えの早いイングランドサッカーへの適応に1年という時間を要した。シーズン終盤に差し掛かり、エジルは疲労が蓄積しているのかもしれない。

 情状酌量のもうひとつは、アーセナルに移籍して増大した周囲の期待。レアル・マドリーでは、あくまで“ワールドクラスのひとり”だった。それがアーセナルでは、“数少ないひとり”だ。向けられる期待や注目は大幅に増しただろう。通常、期待の大きさは、プレッシャーと比例するもの。ひょっとしたら、エジルもエースとしての立ち位置を消化できていないのかもしれない。

【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。

【翻訳】
田嶋康輔

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