[J１リーグ２節]川崎１-１湘南／３月２日／等々力
 
　川崎フロンターレにとってホーム開幕戦、そして２年ぶりとなった湘南との“神奈川ダービー”は、互いの持ち味が随所で見られる白熱した展開でゲームが進んだ。そのなかで試合を動かしたのは昨シーズンのJ１得点王の小林悠だった。
 
　開幕戦に続き、右サイドハーフで先発起用された小林。前半は対峙した湘南の若きウイングバック、杉岡大暉の執拗なマーキングに手を焼いて潰され、持ち味のサイドからボックス内に飛び込むプレーは鳴りを潜めた。
 
　それでも、ハーフタイムに「『このまま続けていけば必ず点は入る』とみんなで話し合った」とチーム内での意志確認を図ったキャプテンは、56分にスタジアムを沸かす。
 
　小林は、「適当に蹴りました」と試合後に語った家長昭博の左サイドからのクロスボールに反応。ファーサイドからニアサイドに走り込んで相手GK秋元陽太よりも早く頭で触って、見事にゴールネットを揺らしたのだ。
 

　マーカーの一瞬の隙を突いて、ゴール前に飛び込むという“らしい”パターンでのゴールに小林は、「ゴールに絡むプレーをしないと自分はピッチに立っている意味がない。そこでしか自分の価値は見いだせない」と、今シーズンJリーグ初ゴールという結果が出たことに安堵の表情を浮かべた。
 
　それでも試合結果は１-１と追加点を奪えなかったことなど、チームとしての課題が浮き彫りになった。その点については、「今日はチームが追加点を挙げられるチャンスがあったので、そこで貢献できなかったことは残念」と話し、さらに反省点を口にした。
 
「前半は知念が身体を張って収めてくれたり、後半は（大久保）嘉人さんが入って戦い方が変わっていくなかで、その選手たちの特長をもっと活かせれば、もっとチャンスは作れた。もうちょっと臨機応変にというか……、せっかく素晴らしい選手がたくさんいるので全体の特長を活かした動きをしていければと思う」
 
　チーム全体に工夫を促した小林。川崎が６年連続で開幕戦に勝てなかったことを問われたが、「なんで勝てないんでしょうかね（笑）」と白い歯を見せつつも、「次に切り替えてしっかりやっていきます」と、最後はキャプテンらしく前を向いて会場を後にした。
 
取材・文●羽澄凜太郎（サッカーダイジェストWeb編集部）

【川崎 1-1 湘南 PHOTO】小林悠が華麗なヘッドを決めるも、松田天馬の同点弾で神奈川ダービーはドロー！