【連載】蹴球百景 vol.11「マスコット総選挙の『ボトム』に注目!」

カテゴリ:連載・コラム

宇都宮徹壱

2017年02月17日

「セーフティネット」としての役割を果たすこととなったJリーグキング。

投票結果では最下位となってしまったJリーグキングだが、大会当日では「キング」らしい立ち居振る舞いに期待したい。(Osaka. 2015) 写真:宇都宮徹壱

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 今月18日に開催されるFUJI XEROX SUPER CUP 2017(以下、ゼロックス)に先立ち、さながらカウントダウンのようにJリーグマスコット総選挙の順位が連日発表されている。本稿を執筆している17日には19位から4位までが一気に発表され、SNS上でも「お、ウチの子がベスト10に入った!」とか「もしかして、いきなりセンター?」といった感じで大いに盛り上がっている。トップ3の争いは確かに気になるところだが、今回はあまり話題に上ることがない、ボトムに沈んだマスコットたちについて言及することにしたい。
 
 まずは下から5番目、第45位となった岐阜のミナモ。前回は39体中30位だったので、大きく順位を落としたことになる。ミナモはもともと2012年の『ぎふ清流国体』のために誕生し、大会後は岐阜県をPRするマスコットとして活躍。FC岐阜での活動もその一環であり、少なくともメインというわけではない。クラブ側は昨年、「(ミナモに代わる)独自のマスコットを作る」ことを宣言したものの、結局は「応援マスコット」としての契約を更新。この立ち位置の微妙さが、得票の伸び悩みにつながったのではないだろうか。
 
 続いて下から4番目、第46位となったのは浦和のレディアである。前回の39位(つまりビリ)から浮上したわけだが、これを快挙と断じるのは早計というものだ。そもそも前回の総選挙では、「せっかくだからビリにして目立たせよう!」という一部浦和サポの悪ノリ的な「逆選挙活動」が奏功して、レディアは最下位となっている。ところが今回は、そうした「いじり」さえもなくなり、ゼロックス当日での「不貞腐れ芸」も封印せざるを得なくなった。これはこれで由々しき事態であると言えよう。
 
 そんなレディアよりも、さらに状況が深刻なのが、47位の湯友(群馬)、そして48位のガイナマン(鳥取)である。湯友については、今年のゼロックスは地元での決起集会に出席するため、早々に不参加を表明。思えば14年の総選挙ではエントリーさえしていなかった。単純な話、総選挙へのモチベーションが低いとしか思えない。そして、J3のマスコットにも門戸が開かれたことで、初のエントリーとなったガイナマン。彼については、いささか「性格に難あり」と見た。SNSでは「バレンタインデー(ハートマーク)、今年ももらいました! チョコレートと素敵なお手紙も」とツイートしていたが、屈辱的な順位に関する言及もなければ、応援してくれたファンへのメッセージも一切なし(17日正午時点)。これではせっかくのルックスの良さも台無しである。
 
 最後に、堂々の最下位となったJリーグキングについて。特定のファンもいない上に、特筆すべきパーソナリティも芸も持たないのだから、この順位は極めて妥当と言えよう。前回の総選挙では、前述した浦和サポの「逆選挙活動」によって逆転を許したが(中間発表ではビリだった)、今回は文句なしの最下位。特定クラブのマスコットが落ち込まないための「セーフティネット」としての役割を見事に果たすこととなった。ここで注目したいのが、ゼロックス当日でのアピール。レディアの「不貞腐れ芸」とは異なる、キングらしい立ち居振る舞いをぜひとも期待したいところだ。個人的にはセンターポジションの行方よりも、むしろそっちのほうが気になっている。
 
宇都宮徹壱/うつのみや・てついち 1966年、東京都生まれ。97年より国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。近著に『フットボール百景』(東邦出版)。自称、マスコット評論家。公式ウェブマガジン『宇都宮徹壱ウェブマガジン』。http://www.targma.jp/tetsumaga/
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