サンプドリアとの契約を解消して無所属状態にある元イタリア代表FWのアントニオ・カッサーノは今、主婦のような生活をしているという。現役続行への想いはあるが、適切なクラブが見つからなければ、ベビーシッターになることも厭わないと述べた。
 
　サンプドリアのマッシモ・フェレーロ会長と揉めた悪童は今シーズン、マルコ・ジャンパオロ新監督の下で構想外となる。だが、自身も家族も愛着があるジェノバの街になんとか留まろうと夏の移籍や契約解消を拒否。クラブの怒りを買ってチームから干され、今シーズン前半戦は当初ひとりで、昨年11月からはプリマベーラ（U-19）と練習するだけの日々を送ってきた。
 
　この状況が好転することはなく、現地時間１月25日、ついにカッサーノはサンプドリアとの契約解消に踏み切り、フリーエージェントとなった。
 
『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙によると、現在のカッサーノは、『スカイ・スポーツ』で「朝食、昼食をとってから若手と練習。落ち着いた主婦みたいな生活をしている」と発言。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙によると、カッサーノは１月にフリーとなった選手が他クラブと契約できるデッドラインの２月28日まで、サンプドリア・プリマベーラとのトレーニングを続けることが認められている。一時は引退も仄めかしたが、まだ現役続行への意欲があるようだ。
 
　それでもカッサーノには、サッカーのためならどこにでも行くという考えがない。昨夏からオファーが届いている“爆買い”には、「中国に何しに行くのさ？ 俺はカネ目当てで移籍するようなタイプの選手じゃない」とすでに何度も拒否している。
 
　そして、ここにきて「どこか良いチームが出てくれば準備をしておきたい。そうじゃないなら、ベビーシッターとカミさんの代理人をやるよ」と発言。カッサーノ家には５歳のクリストファー君と３歳のリオネル君がおり、水球選手だった妻のカロリーナ・マルチャリスさんは最近になって現役に復帰している。
 
　ローマ、レアル・マドリー、ミラン、インテルと数々のビッグクラブを渡り歩いた稀代のファンタジスタも、今年７月で35歳になる。インテルで長友佑都と冗談をかわし、無邪気な笑顔を見せていた悪童は、このままスパイクを脱ぐことになるのだろうか。
 
　最近の噂では、ギリシャのパナシナイコス、アルゼンチンのサン・ロレンソ、そしてセリエBのヴィルトゥス・エンテッラが興味を示しているという。ジェノバを離れたくないとしたら、ジェノバからほど近いキアーバリに本拠を置くヴィルトゥス・エンテッラが唯一の選択肢になりそうだが、はたして……。