利点も不安材料も極めて明確だ。それだけに、微妙な状態にあるとも言える。

　アーセナルとの契約を解消した冨安健洋は、夏の欧州主要リーグのマーケット終了を受け、市場価値が高いフリー選手として注目を集めている。

　最終ラインのあらゆるポジションを高いレベルでこなす万能性に、世界最高峰のプレミアリーグでも能力を示した実績を持つ26歳のDFを、獲得コスト不要で手に入れられる機会はそうそうない。

　それだけに、冨安には様々な有力リーグのクラブが関心を寄せていると言われる。そのひとつが、守備の国イタリアを代表する名門ミランだ。今季から指揮をとる名将マッシミリアーノ・アッレーグリ監督は、結果を非常に重視するタイプで、堅固な守備をベースにする。

　ミラン専門サイト『Notizie Milan』は９月８日、「右SBをこなせ、左サイドにも適応し、必要に応じて３バックのCBにもなれる。このユーティリティ性はアッレーグリにとって貴重なオプションとなるだろう」と報じた。

「ニュースがサポーターの関心を誘ったトミヤスはすぐに質の高いカバーリングを保証するための適切な人材だろう。しかもコストゼロの取引とあり、少なくとも理論上、市場のチャンスに常に注意しているクラブにとって、なおざりにするのが難しい機会だ」
 

　ただ、やはり懸念されるのは冨安の肉体の状態だ。そもそもアーセナルとの契約を解消することになった相次ぐフィジカルの問題が解決されなければ、クラブが獲得に動くことはない。

　同メディアは「真の障害となるのは、選手のフィジカルコンディションだ。ミランにリスクを負うつもりはない。特に直近で多くの起用できない事例が監督の選択を左右してきただけになおさらだ」と続けている。

「一方で、アッレーグリは注意深く内部の代役も検討するだろう。新選手の獲得を無理に急ぐことはない。すぐにピッチで応じる備えがある選手が優先なのは変わらないのだ」

「つまり、トミヤスにとって扉は半開きのままということ。経験、万能性、セリエAの知識から、彼は好まれる人材だが、どんな取引でも進める前に医学的な観点で確実であることが必要となる」

　周知のとおり、すべてはフィジカルコンディション次第だ。復帰が待たれるなか、進展が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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