川崎フロンターレは現地４月30日にサウジアラビアで開催されたアジア・チャンピオンズエリート（ACLE）の準決勝で、クリスティアーノ・ロナウドを擁するアル・ナスルと対戦し、３－２で勝利。この試合で41分にFW伊藤達哉のシュートのこぼれ球をゴールに押し込み、追加点を挙げたのがMF大関友翔だった。

　現在20歳の大関は、U-20日本代表の主力としても活躍しており、将来を嘱望されていたなか、ルーキーイヤーの2023年は、川崎でほとんど公式戦に出場することができなかった。そこで昨季は、J３の福島ユナイテッドFCへ育成型期限付き移籍し、１年間プレーした。

　2023年まで川崎のコーチを務めていた寺田周平監督が指揮する福島は、個人技を駆使した攻撃的なサッカーを展開し、大関は主軸としてプレー。リーグ戦32試合出場で８ゴールを挙げて福島のJ２昇格プレーオフ出場に貢献し、ベストイレブン（J３）を受賞して、今季川崎に復帰した。

　昨季はJ３の舞台で戦った選手のACLE準決勝での活躍、そしてゴールは、福島で昨季ともにプレーした選手たちも驚きの声を上げていた。
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　福島で今季キャプテンを務めるMF針谷岳晃は「昨年結構見た形です。あそこ（ゴール前）まで走っているのはあいつの良さです。でも、あの舞台でやれるのはやっぱりすごいなというのは感じました」と福島でも見せていた形でのゴールをACLEで見せたことに感嘆していた。

　大関とともにインサイドハーフでプレーしていたMF城定幹大は「（大関と）連絡を取っていて、彼自身もすごく気合いが入っていましたし、楽しみに見ようと思っていました。彼らしいと言えば彼らしいゴールでしたし、前に、ゴールに向かってプレーするというところは、福島で彼自身が意識してやっていた部分だと思うので、それがああいう大舞台で出たのかなと思います。僕もああいうプレーは学びにしたいなと思います」と大関の活躍を良い刺激にしていた。

　そして川崎、福島で指導した寺田監督は大関のゴールに興奮気味だった。「見ましたよ！久しぶりに絶叫しましたね」と教え子の活躍を心の底から喜んでいた。

「前半だけでしたけど、ゴールだけじゃなくて、パフォーマンス自体がフロンターレの中でも起点になっていましたし、落ち着いていましたし、頼もしい存在になったんだなと思うと、やっぱり嬉しかったですね。元々そういうポテンシャルはあった選手なので、ここ（福島）で試合の場を経験したというのは多分大きいと思います。そういう意味では、本来の彼の能力というのが、ああいう大舞台で発揮できたというのは、１ファンとして面白かったですね」と福島での経験を経て大きく成長した姿に、感慨無量といった様子だった。

　福島の監督・選手たちは、昨季ともにJ３で戦った大関の世界の舞台での活躍を心から祝福していた。

取材・文●小林健志（フリーライター）

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