［J１第19節］FC東京１－０柏／７月１日／味の素スタジアム

　J１第19節・柏レイソル戦で人々の耳目を集めたひとりが俵積田晃太だった。ピーター・クラモフスキー監督体制の初陣となったJ１第18節・名古屋グランパス戦（２－０）に続き、２試合連続、先発で起用されたからだ。

　沖縄キャンプの時点から卓越したドリブルで左サイドを切り裂き、技術の高さを認められていたが、アルベル監督体制下では先発が２回で、２試合連続の先発はなかった。

　クラモフスキー体制であらためてチャンスを与えられた格好の俵積田は、くだんの名古屋戦では、時折左サイドから進入していくプレーこそ見せられたものの、得点には絡めず。主力メンバーのチームにフィットしきれていないようで、試合後のミックスゾーンでもプレー内容に満足していない様子が伝わってきた。

　次こそはディエゴ・オリヴェイラにクロスを送って結果を──と意気込んで臨んだ試合が、この柏戦だったのだ。

　そして35分、俵積田は有言実行のアシストをマークした。フリーキックのキッカーを務めた森重真人からの長いボールをD・オリヴェイラが収め、長友佑都に柔らかいパス。長友のパスを受けた俵積田は、するすると音がするように動き、そのボールを受けてから数ステップでコントロールされたクロスを上げた。

　これにゴール前で意図して柏のDFと離れた立ち位置をとっていたD・オリヴェイラが、丁寧なヘディングで合わせて決めた。これが背番号33のJリーグ初アシストとなった。
 

　試合後の俵積田はホッとしたようにこう語った。

「監督が替わったり、自分も出られない時期があったり、いろいろありましたが、今回チャンスをもらい、２試合連続スタメンで出させてもらって、これを糧にどんどん成長していってチームの主力になれるように頑張りたい」

　たとえ１試合でうまくいかなかったとしても、反省の機会を与えられればそこで成長した姿を示すことが出来る。キャンプの時に輝いていた表情には、シーズンが進むにつれ苦悩もにじむようになったが、それも柏戦のピッチで払拭した。ここに至るまでにはベテランの助けも大きかったという。

「『自分のプレーに集中しろ』と言われます。（長友）佑都さん、キャプテンの森重さん、いろいろな選手が声をかけてくださって助かっています。佑都さんは『ボールを持ったら自由にやれ。うしろは大丈夫だ』と言ってくれて、実際にやってくれるので。頼もしいです」

　監督の交代がアダイウトンの負傷離脱と重なり、高い個人技術を有するサイドの攻撃的選手が求められているというタイミングのよさはあったが、それを掴めるのも普段の準備が出来ているから。

　俵積田のアシストでゴールを決めたD・オリヴェイラは「タワラ選手の練習に取り組む姿勢はすばらしい。まだあの年齢で、将来は明るい」と言い、俵積田の努力を認めた。

　鉄は熱いうちに打てという。昨シーズンは松木玖生が年間を通して出場し、飛躍的な成長を遂げたが、俵積田もまた、相手を蹂躙するドリブルとクロスの輝きをさらに増し、似たような路を歩む可能性は大いにある。そんな期待を抱かせてくれる活躍だった。

取材・文●後藤勝（フリーライター）

【PHOTO】FC東京の出場15選手＆監督の採点・寸評。D・オリヴェイラが抜群の決定力を見せ二桁得点。俵積田は初アシスト

【PHOTO】味の素スタジアムに駆け付けたFC東京サポーターを特集！

【厳選ショット】好調ディエゴ・オリヴェイラの３戦連発弾で連勝！｜J１第19節 FC東京１－０柏

【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開！