［インターハイ１回戦］日大藤沢１－２丸岡／７月24日（日）／鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム

　福井の伝統校が、逆転で初戦を突破した。今大会２番目に多い33回目出場の丸岡は、０－１の後半残り４分にロングスローからDF徳山港音（３年）が決めて同点。その３分後には、サイドチェンジを交えた攻撃から、小阪康弘監督と、決めたFW小関晴人（３年）自身も「ビックリした」という鮮烈な右足シュートによって試合を引っくり返した。

　激戦区・神奈川の代表校である日大藤沢に見事な逆転勝ち。俊足エースFW小関頼みの一本調子な攻撃になるのではなく、サイドチェンジを有効活用した攻撃をしたことや、セカンドボールを回収し続けるというテーマを１試合通して続けられたことが大きかった。

　加えて、もう一つの勝因となったのが、日大藤沢の198センチのFW森重陽介（３年）対策を貫徹したことだ。

　相手はJ１、J２クラブも関心を寄せる注目株。日大藤沢は、大会直前の練習から調子が良く、高校生相手に自信を持ってポストプレーをする森重へボールを集め、彼自身も収めてからのスルーパスでPKを演出するなど期待に応える動きをしていた。

　丸岡はそのPKを森重に決められて先制点を献上してしまったものの、結果的にその１点で食い止めた。DF山田健太（３年）主将が「サイズがあるので単純に競り合っても勝てない。キープされたあともブロックを作って守ることは、チームとして共通してやっていました」と言うように、ボールを収められたあとに前方を塞いで前進すること、シュートまで持ち込むことを許さない。

　また、クロスを頭に当てられるシーンがあったものの、完璧なタイミングでは打たれたヘディングシュートは無かったと言って良い。小阪監督はロングフィードやセットプレーを含めた空中戦での森重対策について、「森重君の前に絶対に入るように。助走をつけないとヘディングできないですから」と説明する。184センチの長身ボランチMF渡辺祥気（２年）が意識して相手の前方に入り、181センチのDF鷲見琉希（３年）と挟み込むなど、競り負けることがあっても自由にはヘディングをさせなかった。
 

　森重は198センチのビッグマンながら、スピードにも自信を持つプレーヤー。ヴェルディ育ちで足もとにも優れる厄介な存在だった。加えて、日大藤沢は抜群の突破力を備えたFW岡西亜憐（３年）や抜け出しが鋭いMF安場壮志朗（２年）、高精度の左足を持つDF宮崎達也（２年）らタレント揃い。森重に自由にプレーさせると他の選手たちも躍動してしまう。だが、丸岡は相手エースに苦しめられながらも、やるべきことを最後まで徹底したことで逆転勝ちを引き寄せた。

　177センチの山田は集中を切らさずに鷲見とのチャレンジ＆カバーをやり通し、初戦突破に貢献した。自身よりも20センチ以上、大柄な選手、それもJクラブが注目するようなタレントとの対戦はなかなか経験できることではない。

　試合後、充実した表情で取材の受け答えをしていた主将は、「面白かったですね」とニヤリ。そして、「(全国的に見ても、あのサイズは)あまりいない選手なので。失点してしまったんですけれども、流れのなかでやられなかったのは収穫だったかなと思います」と胸を張った。

　丸岡は大会前に連続失点してしまう課題も改善。「声を掛け合いながら全員で踏ん張れたのが良かった」と山田は仲間たちに感謝した。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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