全国高校サッカー選手権大会の準決勝は１月８日に関東一対大津の対戦が行なわれる予定だったが、７日、関東一に複数の新型コロナウイルスの陽性者が出たため、主催者側は予備登録チームでの出場を打診したものの同校が準決勝の出場を辞退。大津の決勝進出が決定した。
 

　この決定を受けて、大会主催者が８日昼過ぎに大津の山城朋大監督のオンライン会見を実施。チームの様子や対戦することが叶わなかった関東一への想い、さらには７日に死去した長崎総科大附の小嶺忠敏監督への想いについて語った。

　大津として選手権で初のベスト４。念願の国立での準決勝となっていただけに、関東一の棄権という知らせに、チームは「動揺が隠せなかった」（山城監督）という。さらに一夜明けた８日朝の段階でも表情が晴れず、平岡和徳総監督からも「結果にこだわるんじゃなく、とにかく自分たちが今できることを考えよう」という声掛けがあったという。

　また、山城監督は「こういうレギュレーションの下で大会をするというのは分かっていた。陽性者が出た時にこうなると覚悟していた」と語った指揮官だが、「いざこういう状況になって、なんと声を掛けていいのか分からない。ただ、こういうご時世で大会を開催してもらっているのはありがたい」と複雑な心境も明かした。

　７日朝には長崎総科大附の小嶺監督が逝去したという知らせには、涙する選手も。DF川副泰樹の兄が同校の出身で、小嶺監督の逝去にショックを受けていたという。山城監督は「選手にも高校生ながらに小嶺監督の存在の大きさは分かっていて、昨日の練習前にも平岡総監督からそういう話をしてもらっていた」と語り、「九州を背負って戦うことを共有していた」と明かす。さらに、その後の関東一の件も重なり、「関東第一さんの分も含めて、想いを背負って戦おう」と確認したという。

　10日の決勝は、様々な想いを背負って戦う大津。決勝の相手は３大会ぶりの優勝を目指す青森山田に決まった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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