いよいよクライマックスを迎えたJ１リーグの優勝争い。29節終了時で、浦和が２位のG大阪に勝点５差をつけて首位を走るが、まだまだ予断を許さない展開だ。優勝を射程圏内に捉える５チーム（浦和、G大阪、川崎、鹿島、鳥栖）は、いかなる青写真をもって終盤戦を戦うのか。週刊サッカーダイジェストの各担当記者が解説する。
 
川崎フロンターレ
成績（29節終了時）：３位／勝点51／15勝６分８敗／49得点・34失点
 
残り５節の対戦
30節　10／26（日） 　対甲府（Ａ）　19:00　前回対戦○２-０
31節　11／２（日） 　対清水（Ｈ）　16:00　前回対戦○２-０
32節　11／22（土）　対鹿島（Ａ）　14:00　前回対戦○４-１
33節　11／29（土）　対広島（Ｈ）　14:00　前回対戦●１-２
34節　12／６（土）　対神戸（Ａ）　15:30　前回対戦△２-２
 
ポイント１）チームの現状は？
　26節の仙台戦に引き分け、27節の新潟戦、28節のG大阪戦で連敗を喫するなどチーム状態は下降線を辿っていたが、29節の鳥栖戦は２-０と完封勝利。ようやく悪い流れを断ち切った雰囲気がチーム内に漂っている。
 
「ここ何試合かは、ゲームをある程度支配してもゴール前の迫力がなかった」とチームの課題を挙げていた風間監督も、鳥栖戦に関しては「崩しに全員がしっかり入っていたので良かったと思う」と手応えを口にする。
 
ポイント２）優勝するために獲得すべき勝点のノルマは？
15（５勝０分け０敗に相当）
 
　29節を終えて首位・浦和との勝点差は６。残り５試合と考えれば１分けや１敗でも致命傷であり、逆転優勝に向けて勝点の取りこぼしは許されない。５連勝でシーズンを駆け抜けるぐらいの勢いを維持しなければ、おそらく逆転優勝には手が届かないだろう。
 
ポイント３）終盤戦のキープレーヤーは？
小林 悠
　10月に代表初選出され、29節の鳥栖戦では豪快なミドルシュートを叩き込むなどコンディションは上々。ブラジル戦に出場して大きな刺激を受けており、終盤戦で鍵を握る存在となりそうだ。
 
大島僚太
　著しい成長を遂げる21歳のボランチが、パスを捌きながら攻撃のリズムを作れるかもポイント。次代を担う存在がチームを牽引する働きを見せるか。
 
ポイント４）累積警告や負傷者などの懸念材料は？
　25節の大宮戦でハットトリックをマークした大久保だが、それ以降はゴールから遠ざかっており、今ひとつ波に乗り切れていない。累積警告も３枚とリーチが掛かっており、終盤戦で欠場となればチームにとって痛手だ。一方、29節の鳥栖戦を左足首痛で先発落ちした中村の状態も気掛かり。31節から32節までは約３週間空くだけに、その間に回復を図りたい。
 
ポイント５）残り５試合で鍵を握りそうな対戦相手は？
　川崎が置かれた厳しい状況を鑑みれば、本来はどの相手が鍵を握るか議論する意味は無に等しい。とはいえ残りの相手を眺めると、前回対戦で甲府と清水に２-０と勝利しているが、相手も残留争いで高いモチベーションで挑んでくるため、悠長に構えている余裕は一切ない。
 
　また32節で優勝争いを演じるライバルの鹿島戦が待っており、厳しい戦いが予想される。いずれにせよ、１敗でも喫すれば逆転優勝は極めて困難になる。一戦必勝で臨むだけだ。
 
文：大木 勇（週刊サッカーダイジェスト）