【タレントスカウト】日本の有望株を“世界基準”で査定|渡辺凌磨編

カテゴリ:高校・ユース・その他

アーロン・ブリッグス

2014年03月21日

積極的にボールを引き受ける勇気を持っている。

U-17W杯ではチームトップの3得点を挙げ、日本の決勝トーナメント進出に貢献した渡辺凌磨。ブリッグス氏は「ダイナミックで、スピード感がある」と評価した。 (C) Getty Images

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 2013年10月に開催されたU-17ワールドカップで、日本代表は世界を驚かせた。ショートパスをテンポよく繋ぎ、主導権を握って戦うサッカーで対戦相手を翻弄。ベスト16で敗退したものの、多方面から高評価を得たのだった。

 世界の舞台で輝きを放ったその俊英たちは、はたしてどんな可能性を秘めているのか。将来を嘱望される彼ら逸材を、世界基準で分析・評価してみようというのが、当企画の趣旨だ。

 分析を依頼したのは、英国人の戦術アナリストで、マンチェスター・シティの下部組織で分析官を務めるアーロン・ブリッグス氏。日本サッカー界の将来を担う有望株を、“本場”のプロが査定する。

 第1回の杉本太郎に続いて取り上げるのは、U-17W杯で持ち前の攻撃センスを発揮し、チーム最多の3得点を挙げた渡辺凌磨だ。


渡辺凌磨(FW)|前橋育英|96/10/02|176・66


【コントロール】:8/10
ファーストタッチに柔軟性があり、スムーズに次の動作へと移っていける正しいボールの受け方を心得ている。

【ドリブル】:7/10
1対1の場面では予測不能なトリッキーな動きで、相手の裏をかく。アウトサイド、インサイド、足裏と、両足を巧みに使ったボールコントロールに秀でている。

【オフェンス能力】:8/10
ボールを持てば常に相手に脅威を与えるプレーをしていた。とくにサイドからカットインしてゴールに向かうプレーは迫力があった。落ち着いてボールが持て、ペナルティーエリアの外からでも積極的にゴールを狙う姿勢は評価できる。スペースの活かし方がうまく、常にボールを受けられるように準備していて、コンビネーションプレーも及第点以上。

【ディフェンス能力】:6/10
守備での振る舞いには大いに改善の余地がある。コンパクトな陣形を作ろうとするチームの動きに加わろうという意識が欠けているようにも見受けられた。そのため、しばしばディフェンスに穴を開け、失点に繋がるような危険な状況を招くこともあった。積極的に相手を追いかけてプレッシャーをかけたり、サイドバックへのサポートを心掛けたりする意識が欲しい。

【ヘディング】:7/10
上背がそこそこあるため、有効な武器になっている。逆サイドからのクロスには、ファーポストに詰めてゴールを狙う。ただ、空中戦で絶対的な存在になるためには、ヘディングをするときのジャンプの仕方に改善が必要だろう。

【タックル】:6/10
プレスをかける際はよりアグレッシブにいくべき。ボールを奪おうとする意識が希薄なようにも見受けられる。

【ロングパス】:8/10
基本的にはショートパスを好むが、逆サイドのサイドバックをスペースへと走らせる、正確なパスを持っている。

【ショートパス】:9/10
ワンタッチ、ツータッチでパスをテンポよくつなぎ、ポゼッションを機能させる。もっとも秀でた能力だ。

【右足】:8/10
右足は力強い。ただ、中長距離からのシュートはさらに磨きをかけたい。

【左足】:6/10 サイドプレーヤーとしては、左足はクロス、シュートともに物足りない。精度を上げることにより、右足に持ち替える必要がなくなり、プレーの幅が広がるだろう。

【戦術理解力】:8/10
目敏くスペースを見つけ、相手ディフェンスの隙間でボールを受けることができる。今後はパスセンスを向上させたい。相手の急所を突くパスが出せれば、より危険な選手になる。オフ・ザ・ボールの動きの質も高める必要がある。フリーランニングの際に、ただ真っ直ぐ走るのではなく、弧を描くような走りで変化をつけるなどして、もっと相手に考えさせたい。

【運動能力】:7/10
パワフルさには欠けるが、ダイナミックでスピード感に優れている。身体も小さくないため、将来的にはいま以上に力強いプレーができるようになる可能性が大きい。

【パーソナリティー】:7/10
ボールを保持している時のほうが、保持していないとき以上に仕事をこなす印象。プレッシャーのかかった場面でも、積極的にボールを引き受ける勇気を持っている。

【長所】
右足でボールを持ち、左サイドからカットインしてフィニッシュに持ち込むまでの一連のプレーは高水準。スペースを見つけ出し、それを活用する能力に優れ、ポゼッションは安定し、プレー中に慌てることがめったにない。

【短所】
オフ・ザ・ボールでの運動量が少なく、守備の意識が低い。チームメイトをサポートしようとする動きが少ない。

【分析者】
Aaron BRIGGS|Manchester City EDS analyst
アーロン・ブリッグス/マンチェスター・シティ EDSアナリスト
イングランド人の戦術アナリスト。プレストン・ノースエンドから2011年夏にマンチェスター・シティに引き抜かれ、現在は「エリート・ディベロップメント・スカッド(EDS)」と呼ばれるU-21チームの分析官を務める。英国内だけでなく、広くヨーロッパ中のユース年代のタレントに精通している。

【翻訳】
松澤浩三
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