【THIS IS MY CLUB】「野人」から「何でも屋」に――。鳥取・岡野雅行GMが語る“ガイナーレイズム”「レオナルドの言葉に涙が…」

2020年06月24日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ブラジルに行って、『彼はできるな』と直感で思った」

自粛期間中は鳥取に行けず、東京の自宅で過ごしていたという岡野氏。※写真は取材時のスクリーンショット

 Jリーグ加盟10年目の節目の年にJ2昇格を目指しているのが、ガイナーレ鳥取だ。今回、サッカーダイジェストもその一員となっている「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE - 」と称して、各クラブのフロントスタッフにインタビューを実施。快足ストライカーとして日本代表で活躍し、鳥取で引退後はGMとしてクラブの「顔」となっている岡野雅行氏にご登場いただき、ガイナーレへの想いを語ってもらった。

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――現在、GMとして具体的にどのような仕事をされていますか?

「何でも屋ですね。もちろん選手の契約や現場にも関わりますが、営業に行ったり、接待したり、設営もやったり。地方クラブなので、ビッグクラブのGMとは役割が全然違うと思います。平日は営業に行ってガイナーレを知ってもらうという仕事をずっとやってきたので、鳥取の社長さんはほとんどと言っていいくらい知り合いになりましたね。なので、いまは全国を回ってガイナーレに興味を持っていただくために、講演やイベントに出たりしています。お魚売ったり、お肉売ったり、プロレスに出たり、サッカーに関係のないことばかりやってますね(笑)。最近は、現場はあまり見れていないので、そこは強化部長に任せてます」

――補強に関しても関わっている?

「もちろん、そこにも関わっています。忙しくてインターハイや選手権とかを見に行くことはなかなかできないですけど、監督、コーチ、強化部長とは頻繁にコミュニケーションを取って、ガイナーレにはこういう選手が良いよね、というような話をしています。強化部長や監督を信頼していますし、スカウトに行って『この選手が良かった』と報告があれば、『じゃあ、どうしようか』と相談して決めています」
 
――外国籍選手の獲得なども関わっている?

「17年にガイナーレが最下位になったんですが、ファン・サポーターもスポンサーさんも離れてしまうんじゃないかと、すごい危機感を持ったんです。その時に、2泊4日でブラジルに飛びました。ペレやネイマールを輩出したサントスに、日本に来たがっている選手が4人いるということで見に行ったんです。僕は映像じゃ嫌なので、実際に現地に行って、どういう環境でサッカーをやってるのかを見てみたかったんですよね。驚いたのが本当にスラム街なんですよ。この時代にこんなところがまだあるのかと。

 サントスの練習場に行って、僕の目の前で点を取ったのがヴィートル・ガブリエル(18年に在籍)でした。『あの選手は良いね』となって、練習場の外で待っている時に出てきたのが、いま浦和レッズのレオナルド(18年に在籍)だったんです。『ぜひ日本に行きたい』と言っていて、その時の立ち振る舞いや目つきを見た時に『彼はできるな』と直感で思ったんです。僕も、カズ(三浦知良)さん、ゴン(中山雅史)さん、福田(正博)さん、ラモス(瑠偉)さんとかを見てきたんで、オーラが分かるんですよ。レオナルドは当時20歳だったのかな。コイツはやるんじゃないかって雰囲気があったんですよ」

――すぐに獲得を決めたんですね。

「彼に『J3なんだよ』と話したら、『ボールがあればいい』と言ったんですよ。涙が出そうになっちゃって。日本の選手は恵まれているんで、『こんな環境でやるんですか』とか、すぐ言うやつもいるじゃないですか。彼は『サントスのあるのはスラム街なので、僕が活躍して家族を日本に連れていきたい。頑張るから面倒を見てほしい』と。もうそれで獲得決定ですよ」
 

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