「ここまで苦労して現役を続ける意味があるのか…」サンティ・カソルラは“選手生命絶望の危機”からなぜ復活できたのか?【インタビュー】

2020年03月29日 エル・パイス紙

右足のアキレス腱を8センチも失う大怪我

一時は歩行すら困難な状態から見事に復活したカソルラ。(C) Getty Images

 スペイン代表はEURO2008ユーロ、2012年ワールドカップ、EURO2012と前人未踏のメジャー大会3連覇を成し遂げ、長きにわたり世界のフットボールシーンを席巻した。この躍進を支えた小さなテクニシャンたちのなかで、サンティ・カソルラは最後の生き残りだ。ちらほらと白髪が見え隠れする頭髪に歳月の経過を感じさせるが、トレードマークの笑顔は健在で、ベテランとなった今もチームのムードメーカー的な存在であり続けている。

 2018年夏のビジャレアル移籍を境に復調した彼は、昨年5月に3年半ぶりの代表招集を受けた。一時は選手生命を危ぶまれるどころか、再び自由に動せるようになるのも困難もしれないと診断された、右足のアキレス腱を8センチも失うという大怪我から2年近いリハビリを乗り越えてのサプライズ復帰だった――。その彼が、この復活劇について語ってくれた。

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――現在の怪我の状態はどう?

「毎日ベッドでアキレス腱の患部のマッサージをしてもらっている。フィジオからは痛みが再発しないように、日々の生活から気を付けて行動しなければならないと忠告されていてね。ただ痛みはないんだ。自然に左足に負担をかけてしまうから、他のところには痛みが出るけどね。ただ筋肉痛みたいなものだし、プレーをする上では何の支障もない」

――リハビリ中、代表に復帰できると想像していた。自分でもまさかという思いはあるんじゃない?

「まったく想像していなかったよ。まあ、考えていなかったことが次から次に起こってはいるけれど、代表復帰はその中でもっとも遠いところにあった。再びプレーできるだけでも万々歳なのに。いまはフットボールがとにかく楽しい。でも同時に自分の立場や責任というものを感じ始めているところだ」

――(18年夏に)ビジャレアルへの復帰が実現したのは、フェルナンド・ロイグ会長と元同僚のマルコス・セナと会食の場を持ったことがきっかけだったんだよね。

「当時はビトリアとサラマンカの2つの街でリハビリをしていて、ビジャレアルがちょうどメンディソローツァ(ビトリアをホームタウンにするアラベスの本拠地)で試合をすることになった。それで現地で試合を観戦しようと考えて、セナとフェルナンドに連絡すると、夕食に招待してくれてね。その時怪我の状態を聞かれて、どんなことでも助けになるし、いつでも扉は開けて待っているという声をかけてもらったんだ。

 ふたりにもクラブにも感謝の気持ちしかないよ。それから頻繁に連絡を取り合うようになって、トップチームで練習する機会を与えてもらうことになった。コンディションを見た上で契約するかどうか判断しようという双方にとって何の責任も発生しない形でね」
 

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