【新連載・東京2020】小川航基/中編「何度でも這い上がる――U-20W杯で負った大怪我を乗り越えて」

2019年04月08日 松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

最後の夏に起こった2度目の事件。なぜ、監督に雷を落とされたのか

インターハイでは初戦敗退。自らのゴールで2点を先行したものの、最後はPK戦で涙を飲んだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 2020年に開催される東京五輪。活躍が期待される注目株の生い立ちや本大会への想いに迫る新連載だ。

 記念すべき1回目は、世代きっての点取り屋・小川航基が登場。桐光学園高ではキャプテンとしてチームを牽引し、16年に磐田でプロキャリアをスタートさせたFWは、17年のU-20ワールドカップで負った左膝の大怪我を乗り越え、昨季はJ1初ゴールを挙げた。

 徐々にクラブでも存在感を高めている21歳のストライカーはいかにして現在地へと辿り着いたのか――。

 中編では高校最後のインターハイ、選手権、プロのキャリアをスタートさせた磐田での日々。そして、予期せぬ世界舞台でのアクシデント。順風満帆とはいかなかった時期の想いを赤裸々に語ってくれた。
 
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――様々な経験をし、高校最後のインターハイを迎えました。神奈川県予選では市立東を準決勝で倒して全国大会出場を決めましたが、自らの力で初めて掴んだ点は充実感もまた違いましたか?
 
「本当にその通りで、正直なところ公立の勢いや迫力のある応援もあるので、出端を挫こうとしたら、FKを開始早々に決められて逆に勢いに乗せてしまった。あそこから冷静になって盛り返せたのはチームにとっても、自分にとってもすごく大きな試合でしたね」
 
――心身ともに充実した状態で迎えた夏のインターハイ。本大会の1回戦で久御山に負けてしまいました。(編集部・注/2(4PK5)2で桐光学園は久御山に敗戦)
 
「正直、あのような形で負ける想像はしていなかった。自分が2点を決めたのに、あそこから追い付かれてPK戦になるとは...。すごく悔しかったし、試合後はもやもやしていた。インターハイはプロのスカウトも見に来る大きな大会。自分としては先に繋がる場だと思っていて、かなり力を入れていました。

負けた後に気持ちの整理ができていなかったけど、自分はキャプテン。最後にみんなの荷物を見て、忘れ物がないかを確認していました。でも、だらだらしながらやっていたら、監督にガツンと言われてしまい、また雷を落とされてしまったんです」
 
――なるほど。そこからどうやって監督の許しをもらったんですか?
 
「監督と揉めた日にチームから外され、イサカ(ゼイン/現桐蔭横浜大)君がキャプテンになったので僕はイライラしながら家に帰りました。でも、いろいろ考えてとにかく練習にも合流しないといけないし、チームのためにも個人のためにもやらないといけないと考えた時に身体が動いていたんです(笑)。

そうしたら、鈴木監督の家の前にいたって感じです(笑)。怒られてから2、3日は経っていましたけど、とにかく、何かしないといけないなと思ったら、家まで行っていましたね」

次ページ全身全霊を込めて挑んだ最後の選手権。結果はまたしても...。

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