【日本代表】ひとりだけリズムが違う本田圭佑は、日本代表に必要か

2015年11月24日 清水英斗

本田をトップ下に置いたザックジャパンは、現代サッカーには珍しい、レトロな佇まいだった。

現代サッカーのトップ下に求められるのは、プレーのスピードだ。その意味で言えば、本田をトップ下で起用したザックジャパンは前時代的だったとも言える。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ゆったりとしたリズムでボールを持ち、タメを作る。そして、動き出した味方へパス。たしかに、本田圭佑は、ひとりだけリズムが異なる。特に、球離れの早い日本代表でプレーすると、その異質ぶりが際立つ。

 本田の"重さ"は、1対1で相手を背負うボールキープなど、対人パワーに優れる反面、スピードの変化やターンといった俊敏性に欠ける。プレーが遅くなりがちだ。

 彼のようなタイプを司令塔として、トップ下周辺に置くシステムは、現代サッカーではあまり見られない。すでに前世紀の遺物となった。

 マンツーマンで対処された時代ならいざ知らず、現代サッカーのようにゾーンディフェンスで、スペースがコンパクトに縮められると、わずかなプレーの遅れで、あっという間に複数人に囲まれてしまう。そうなったら、ひとりの相手を背負うボールキープなど、なんの意味もない。

 ここで重要になるのは、1対1ではなく、1対多の能力。小さなスペースで、テンポ良くプレーし、囲まれる前にボールを動かすこと。バルセロナのアンドレス・イニエスタ、バイエルン・ミュンヘンのチアゴ・アルカンタラ、マンチェスター・シティのダビド・シルバ。彼らのように"軽さ"のある選手は、ボールを収めてさばくテンポが速い。

 ポゼッションだけでなく、縦に速いカウンターを繰り出す際にも、このテンポの早さで縦に運ぶことが重要になる。もちろん、ドルトムントの香川真司も、このタイプだ。

 あるいは、バイエルン・ミュンヘンのトーマス・ミュラー、マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーのように、FWタイプのセカンドアタッカーを、トップ下周辺に置くケースも多い。

 いずれにせよ、このスペースで重要視されるのは攻撃のスピードであり、そういう意味では、本田をトップ下に置いたザックジャパンのシステムは、現代サッカーには珍しい、レトロな佇まいだったとも言える。

次ページゲームビジョンを備えた本田はボランチの素養がある。しかし、本人はその選択を拒んだ。

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