【采配検証】お馴染みのメンバーで手堅く… 宇佐美、武藤の終盤投入で伸びしろは見込めるか?

2015年10月09日 加部 究

相手に体力のある前半にどれだけ得点できるかがポイントだったが…。

シリア戦は怪我人を除けば、ほぼ現状のベストと思われるメンバーで臨んだ。しかし、前半は思わぬ苦戦を強いられた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 日本はワールドカップ・アジア2次予選で、初めて勝とうと挑んでくるチームと対戦した。FIFAランク3ケタのシリアは、シンガポールやカンボジアのように後ろで待ち構えるだけではなく、ミドルゾーンで厳しいプレッシャーをかけ、ショートカウンターを狙って来た。時には積極的にGKへのバックパスも追いかけたほどだ。
 
 日本は序盤でオフサイドにかかるシーンもあり、ラインも下がったままではなかった。そういう意味で、もし日本が現状の立ち位置を確認するなら、まだシリアに十分なモチベーションと体力が横溢する前半に、どれだけ崩してゴールを奪えるかがポイントだった。
 
 だがその前半で、日本は最終ラインからMFまでのビルドアップの段階ですでに精度を欠き、何度もインターセプトされカウンターのピンチを招いている。対戦相手がシリアでなければ、致命傷になってもおかしくないボールの奪われ方が立て続けに見られた。
 
 序盤には最後尾の吉田麻也がフィードにもたつき、シリアのFWマルキにインターセプトを許しているが、全体に動きが少ないのでパスの出し手は、こうして再三立ち止まってコースを探した。
 
 結局前半の日本は、香川真司のFK、本田圭佑のCKから2度の決定機を創出したが、シリアにもフィニッシュでしっかりミートができれば1点というビッグチャンスを2度許している。

次ページ「美しい勝利」などと手放しで喜べる状態ではない。

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