日本、豪州、サウジの“3強”だが侮れない中国とベトナム。カギを握るのはオマーン【最終予選・最新敵国情報】

2021年08月26日 河治良幸

第2節の中国戦はカタールで行なわれることに

総合的な戦力で見れば日本、オーストラリア、サウジアラビアの3強になりそうだ(左から豪州のフルスティッチ、日本の南野、サウジのアル・ファラジュ)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)、Getty Images

 カタール・ワールドカップの出場をかけたアジア最終予選。日本はB組でオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと対戦する。

 ホーム&アウェーで10試合の日程が組まれているが、新型コロナウイルスの蔓延により、一部中立地の使用も考えられる。実際、第2節の中国戦は中国政府の入国規制により、カタールで行なわれることに。日本としてはアウェーの戦いが回避され、なおかつカタールの会場を本大会の前に経験できるという意味で幸運ではあるが、ベトナムやオーストラリアのホームゲームも先が見えない状況だ。

 そもそも日本のホームも含めて、有観客で行なえない試合が大半になることから、従来のホーム&アウェーよりもホームとアウェーの差が小さくなると想定できる。そこは寂しさもあるが、予選を突破することを第一の目的として考えれば、ポジティブな見方もできる。そもそも欧州組や欧州帰りの酒井宏樹、大迫勇也などが主力の日本はあまり環境に左右されず、安定したパフォーマンスを発揮していくはずだ。

 総合的な戦力で見れば日本、オーストラリア、サウジアラビアの3強だが、少なくない帰化選手を擁する中国は侮れない。さらに"ベトナム・サッカーの父"と呼ばれる韓国人のパク・ハンソ監督が率いるベトナムも戦い方が明確で、2019年のアジアカップ準々決勝で日本は大苦戦を強いられた。
 
 5バックをベースにミドルゾーンでプレスをかけてくるタイトな守備、さらにシンプルで速いパスとFWファン・ヴァン・ドゥクなどアタッカー陣のドリブル、左サイドのドウアン・バン・ハウの鋭い攻め上がりを駆使した速攻は脅威になりそうだ。

 読みにくいのがオマーンの戦い方。クロアチア人のブランコ・イバンコビッチ監督が率いるチームは中盤のパスワークをベースとするスタイルに変革されてきている。英雄アル・ハブシからゴールマウスを引き継いだ守護神アル・ラシェイディからディフェンスラインのビルドアップを活用して、高い位置に起点を作って行くが、日本やオーストラリアの強度にそのまま通用するとは考えにくい。

 構築中のスタイルをすべて放棄することはないにしても、やはり力関係を見ながら堅守速攻の形も用いてくるのではないか。日本のホームで行なわれる初戦で、オマーンが最終予選でどういった戦い方をしていくかはある程度見えるが、終盤まですべての国に突破の可能性が残る大混戦になるのか、1か国が蚊帳の外に追いやられるのか。B組の鍵を握るチームだ。

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