次戦出場停止の酒井宏樹の代役は? 市川大祐が見たフランス戦。「個」の局面で大きな進歩を実感した【東京五輪】

2021年07月30日 サッカーダイジェストWeb編集部

吉田麻也選手の存在が非常に大きい

フランス戦では得点も記録し、絶大な存在感を発揮している酒井。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本は、フランス戦を4-0で快勝し、決勝トーナメントへ進出しました。

 試合のなかでは、これまで以上にコンパクトさが保たれ、どうすればやれないか、どうすればチャンスを作れるか意志統一され、バランスの取れた戦いが出来ている印象を受けました。

 無失点で終えられた守備のところでも、それほど大きなピンチもなく、ヒヤリとしたのは65分のFKの場面くらい。それ以外のところで危ないシーンはほとんど見られませんでした。

 今回、負傷でここまでの2試合でベンチ外となっていた冨安健洋選手が戻ってきて、そこまで相手に押し込まれてしまう苦しい状況は多くなく、実戦経験を積み、身体を試合に慣れさせられたのも良かったですね。

 さらに守備陣の経験と言いますか、落ち着きのある対応にも感心させられました。やはり吉田麻也選手の存在が非常に大きいのではないでしょうか。

 むやみに飛び込むということも無かったですよね。酒井宏樹選手が、相手選手に長い距離をドリブルで運ばれた時も、吉田選手が対応。相手のスピードを吸収するような形で、無暗にボールに対して寄せに行きませんでした。それは、中央へパスを出されても大きなピンチになるような状況ではない、時間をかけてしっかり守ろうということを判断した上での的確な対応でした。

 その場面では、酒井選手も全力で追いかけいて、中盤の選手たちも全力で戻り、ディフェンスがピンチに晒されるようなシーンを作らせない。そういう状況がしっかり見えているからこそ、プレーの判断ミスがほとんどなかった。吉田選手をはじめとした守備陣の経験値を感じました。
 
 冨安選手も、上田綺世選手のバックパスがずれた場面で、少し焦って強く行きすぎてしまい入れ替わってしまったり、ファウルを与えてしまったりということが一般的には多いなか、素早くステップを踏んで、その状況を上手く回避していました。経験値や落ち着きとともに、フィジカル的にも、スピードでも負けていなかった。

 前述のシーン以外にそこまで2センターバックが相手とバチバチ対峙するようなシーンが多くなかった。それは、後ろからの指示や、そういうシーンを作らせないようなポジショニング、コーチングで前の選手たちを動かすことが出来ているからです。さらに、前の選手たちの個人での判断、経験というところが本当にうまく噛み合って、試合をやるごとにチームの完成度が高くなっていく印象を受けます。
 

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