「このままでは置いておけない。転校も考えていただきたい」。恩師が明かす前田大然の人生の転機【東京五輪メンバーのルーツ探訪】

2021年07月29日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

「足は速かった。でも…」(吉永)

前田(9番)は、山梨学院高時代に人生の大きなターニングポイントを迎えた。写真提供:吉永一明

 東京五輪で悲願の金メダル獲得を目指すU-24日本代表。全世界注目の戦いに挑んでいる彼らは、この大舞台に辿り着くまでどんなキャリアを歩んできたのか。

 ここで取り上げるのは前田大然だ。持ち味はスピードを生かして攻守にアグレッシブに走り回るプレー。そのスタイルにたどり着いたのは、高校時代のある経験がきっかけだという。部活からの除籍――。本人からすれば苦い思い出かもしれないが、その出来事が最大の転機だった。

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 山梨学院高の監督だった吉永一明が前田と出会ったのは約9年前。前田が中学3年生の時だった。吉永は当時の印象をこう口にする。

「まあ、足は速かったですね。でも今のように特別な武器っていう感じではなかったと思います」

 今でこそ「前田の武器は?」とサッカーファンに問えば、ほとんどの人が「スピード」だと答えるだろう。ただ、かつては「速さをチームのために生かせていなかった」(吉永)。

 では、前田はいかにスピードをチームプレーに落とし込めるようになったのか。それは高校時代のある出来事が深く関わっている。
 

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