東京五輪躍進のカギは状況把握と修正力。プロ分析官がスペイン戦を徹底解剖!

2021年07月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本は様々なトライをして、収穫もありました

後半途中から負傷明けでの出場を果たした上田。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表は親善試合の日程を全て終え、7月22日からいよいよ東京五輪本番を迎える。

 ここでは、Jリーグの各クラブでスカウティング担当を歴任し、2019年には横浜F・マリノスで自チームや対戦相手を分析するアナリストとしてリーグ優勝にも貢献した杉崎健氏に、最後の強化試合・スペイン戦を分析していただいた。金メダルを目標に掲げるチームの注目ポイントとは――。試合を4つの状況に分け、それぞれの局面でのプレーを分析してもらった。

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 オリンピック前最後の試合、スペイン戦は1-1の引き分けで終わりました。

 この試合では、選手交代が11人可能であることや、本番直前ということもあり、前半と後半で大きくメンバーが変わりました。

 そのため、この試合トータルでどうだったのかという評価は難しいです。多くの選手が45分間のプレーでしたし、相手も来日して間もないなか、EURO2020を戦ったばかりの選手が6人もいて、どちらかと言えば、コンディション調整の場というニュアンスが強い試合でした。また、スペインはオーバーエイジを入れて初めての試合だったと思うので、試運転の意味合いが強かったと思います。
 
 この試合を受けて、日本代表はメダルが取れるのか?という議論も期待されるかもしれませんが、今回のレギュレーションや暑さ、スペインの状況も考えて、引き分けたという戦いぶりだけでは、メダルが取れるのかどうかという根拠にはなり得ません。

 ただ、もちろん日本目線で言えば、負傷で直前のホンジュラス戦はベンチ外だった上田綺世選手が試合途中から出場できたり、ACLで合流の遅れた相馬勇紀選手がスタメンで出たり、遠藤航選手と田中碧選手のダブルボランチが機能しているなかで、あえて板倉滉選手をその一角として起用したりするなど、チームとしてもトライしたい部分を確認できたという収穫もあると思います。

 林大地選手をホンジュラス戦から続けて先発で使ったり、後半にメンバーを大幅に変更したなか、敢えて板倉選手を残して田中選手と組ませたり、上田選手、中山雄太選手を入れて、前田大然選手を右に、三好康児選手を真ん中に回したり、全てがプラン通りだったのではないでしょうか。

 森保一監督の発言などからもスペインに勝つことを目指しながら、実戦でいろんなバリエーション、組み合わせを試せた貴重な試合にもなったと思います。

 それではいったいどんな収穫と課題が浮かび上がったのか、自陣での攻撃、敵陣での攻撃、敵陣での守備、自陣での守備と4つの局面ごとに、キーファクターを紹介していきたいと思います。
 

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