【識者が選ぶラ・リーガのワースト11】マドリーから3人、バルサから2人を選出! 最大の失望は…

2021年06月02日 下村正幸

最も迷った右SBはセルジ・ロベルト

下村氏が選んだラ・リーガのワースト11。

 ラ・リーガのワースト11のGKは、バレンシアのハウメ・ドメネクだ。もともとリアクション能力の速さやメンタルの強さを前面に押し出すタイプで、乗っているときは好セーブを連発するが、ヤスパー・シレッセンの故障でデビュー以来、初めて正守護神のお鉢が回ってきた今シーズンは、不安定な部分が目立った。

 マウロ・アランバリのシュートを前に弾いてクチョ・エルナンデスにそのこぼれ球を押し込まれたヘタフェ戦(8節)での失点はその一例だ。他にも確実に処理していれば防げたシーンは一度や二度ではなかった。GKは言うまでもなく周囲に安心感を与えなければならないポジションだ。チームの守備が整備されずセーブ機会が多かったこともあるが、長所と弱点が混在するゴールキーピングは不満が残った。

【画像】識者が選んだラ・リーガのベスト11
 CBはセルタのジェイソン・ムリージョとグラナダのヘスス・バジェホを選出。前者は昨シーズン冬に加入してDFリーダーとして残留に貢献した働きが認められ、再レンタルという形で2年目に臨んだが、シーズンを通してその面影が見られなかった。こうして入団2年目にパフォーマンスが落ちるのは、インテルやバレンシア時代と同じだ。バルセロナでもプレー経験のある実力者だが、こうした好不調の激しさが大成を阻む要因となっている。

 後者も昨シーズン冬に加入し、レンタル2年目だったが、失点やピンチに絡むシーンが少なくなく、一部で出ている今夏のレアル・マドリーへの復帰報道に説得力を持たせるプレー内容ではなかった。出足はまだ良かった。しかし一時より頻度が減少したとはいえ、次第に怪我による戦線離脱を繰り返し、終盤はヘルマン・サンチェスとドミンゲス・ドゥアルテのレギュラーコンビはもとより、20歳のナウエン・ペレスにもCBのポジション争いで後れを取った。

 最も迷った右SBはセルジ・ロベルトを選んだ。確かに再発も含めて負傷による戦線離脱を重ねたコンディションも考慮に入れる必要があるが、上下動する運動量や対人守備といった点でバルサのSBを担うには現状では厳しいという印象だ。デビュー以来、便利屋として存在感を放ってきたカンテラーノも早29歳。本来なら中間層が薄いチームにおいて主軸を担うべき立場だ。使い勝手の良さが災いして器用貧乏のままで終わるにはあまりにも惜しい。
 

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