【日本代表】金田喜稔がウズベキスタン戦を分析|宇佐美にあえて言いたい。「守備も含めて、局面でもっと身体を張れ」と

2015年04月01日 サッカーダイジェスト編集部

たった2試合で激変した「チームの規律」は驚嘆に値する。

先発11人を入れ替える大胆な采配を見せたハリルホジッチ監督。短期間でチームに規律を植え付けた。写真:菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

 チュニジア戦から先発11人を入れ替えて、全員の能力を見極めたいという狙いがあったなかで、まず2連勝を飾った意義は非常に大きいと思う。4日前にアウェーで韓国と引き分けたウズベキスタンは、個々の局面でも強さがあり、決して弱い相手ではなかった。リスタートの流れから喫した失点は余計だったが、ブラジル・ワールドカップの3次予選で勝てなかったウズベキスタンに対して5点を決めたのだから、そこは十分に評価できる。

2015.3.31国際親善試合|日本 5 -1 ウズベキスタン

 スタメン全員を入れ替えた影響でコンビネーションに多少の難があったものの、「チームの規律」という観点から見ると、この試合は非常に面白かった。縦への速い攻撃とミドルシュートがこの日のテーマで、さらにチュニジア戦よりも全体のブロックを前に上げて、前線からプレスをかけながら高い位置でのボール奪取を狙っていた。
 
 なにより驚いたのは、たった2試合でここまで選手たちの意識が変わったこと。パスがつながらない場面はあったものの、ボールを奪った瞬間や横パスを1本入れた後には、確実に縦に入れようという狙いが見えた。なにが最も凄いかと言えば、FWが縦パスを受ける意識と、奪った瞬間に縦を狙うという中盤の意識が格段に上がった点だ。縦にパスが入るからこそ、その後のサポートも考えて周りが動き出している。
 
 例えば岡崎がパスを引き出す動きをした時、周囲の次への動き出しが明らかに早くなっている。それは「縦への意識」がチームの規律として組み込まれている証拠で、縦パスが入ることを前提として攻撃陣が動き出しているのは、今までの代表とは大きく異なる点だ。ザッケローニが監督に就任した当初、縦パスを入れていこうというスタンスで船出し、確かにその時は日本が変わったという印象を与えた。しかし、それが続いたのは数試合だった。その時以上に縦への意識は強く、選手たちも考えて動いているのがよく分かる。
 
 不安なのは、この縦に速いサッカーがどこまで続くか。個人的には、本当に続けてほしいという想いが強い。中盤でパスを回してタメを作るのが悪いわけではないが、それが常態化すると、縦に入れるべき時でもパス回しに固執してしまうし、そこが今までの悪癖だった。ハリルホジッチ監督は有無を言わさず縦に入れないと怒るし、あえてそうすることで、今は縦への意識を植え付けようとしているのだろう。日本がやろうとしているサッカーは世界の潮流と同じで、これからステップアップできそうな可能性を感じ取れた。

次ページザッケローニ時代の二の舞を踏まず、ハリルホジッチは信念を貫けるか。

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