「彼は何を話した?」ドイツ誌記者が食いついた、遠藤航の好パフォーマンス。背番号「3」は今、シュツットガルトの“芯”だ【現地発】

2020年02月24日 中野吉之伴

当初、監督は獲得に反対していたという

背番号「3」を背負い、レンタル先のシュツットガルトで先発出場を続けている遠藤。 (C) Getty Images

 ドイツ2部のシュツットガルトでプレーする日本代表MF遠藤航は、昨夏にベルギー1部のシント=トロイデンから期限付きで移籍した後、じっと出場機会を待ち続ける時間が続いていた。

 そもそも、当時監督だったティム・ウォルターは獲得に反対だったという。スポーツディレクターのスベン・ミスリンタートはそれを押し切って遠藤を迎え入れたことになる。自らの意に反して獲得された選手を起用することは、どんな監督でも最初は抵抗があるだろう。

 "ベンチ要員"となっていた遠藤について、ウォルター監督は、メディアに尋ねられるたびに「どこで起用するのがいいのかを見定める時間が必要だ」と答えていた。そうとしか答えられない事情が、彼にはあったわけだ。とはいえ、それがいつまでも続くと「なぜ補強したのか?」と、地元記者やファンに疑われても仕方がない。

 ドイツの老舗サッカー専門誌『kicker』は、「獲得当初から、大きな疑問符が浮かんでいた。他にも似たようなタイプの選手はいるのではないか?」と懐疑的にみていたことを正直に明かしている。

 そうした状況に対し、遠藤も理解を示していた。

「(監督は)最初は、自分のプレーやスタイルをよく分かっていなかった。実際に(そう)言われたこともある。ただ単に時間が必要だったというか。僕自身は、練習には100%で取り組んでいた」

 そんななか、遠藤とシュツットガルトにとって転機となったのが、19年11月半ばに行われたカールスルーエとのダービー・マッチだ。

 ウォルター監督のチームは、「自分の形をしっかり作りながら、試合を支配していくスタイル」(遠藤)を目指して邁進していたが、どうにも安定していなかった。

 例えば、ビルドアップ時にはポジションが激しく連動する。SBがアンカーの位置に入り込めば、インサイドハーフや攻撃的MFがSBの位置まで降りて守備に参加する。さらにアンカーは、トップ下の位置に顔を出すほか、最終ラインのCBも中盤に顔を出しに行くなど、積極的なポジションチェンジを行なって相手守備を揺さぶり、攻略する。

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