ダビド・ビジャが明かす移籍の真相と神戸の“バルサ化”【独占インタビュー|前編】

2019年02月21日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「ヴィッセルが一番興味を示してくれた」

なぜ日本を新天地に選んだのか。移籍の理由を語ってくれた。写真:徳原隆元

 冷たい北風が肌をさす1月中旬、ヴィッセル神戸の練習グラウンドを訪れていた。今年加入した世界的ストライカーに話を訊くためだ。
 
 ダビド・ビジャ――「エル・グアヘ(少年、炭鉱夫見習い)」との愛称で呼ばれるそのスペイン人は、言わずと知れた名手だ。バルセロナやアトレティコ・マドリーでリーガ・エスパニョーラを3度制し、バルセロナ時代にはチャンピオンズ・リーグ優勝も経験。10年の南アフリカ・ワールドカップで世界一にも輝いたスペイン代表では、歴代最多の59ゴールを奪ってきた。
 
 身長174㌢と決して大柄ではないものの、そのオーラは伊達ではなかった。一気に現場に緊張が張り詰めたなかで、ひと通り写真撮影を終えたビジャと向かい合って着席する。ほとばしる覇気のようなものに、怖気づいてなどいられなかった。時間が限られているが、質問は山ほどある。
 
 日本での新たな挑戦に燃える胸中に迫った。
 
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 まずなにより訊きたかった。なぜ神戸というクラブを新たな活躍の場に選んだのか、何に惹かれてこの港町へとやってきたのか、を。

 ビジャはあごに当てた手を外し、穏やかな口調で話し始めた。
 
「1番の理由は、熱い想いだ。オファーをくれた数あるクラブのなかで、ヴィッセルが一番興味を示してくれた。どうしても僕を獲得したい、そうした強い気持ちを感じたんだ。もちろん他にも色々あるが、それがなによりも大きかった」
 神戸の熱意に動かされたビジャのJ参戦は当時、たちまちニュースとなって世界中に広まった。

「いろんな選手や友人から連絡が来た。みんな、俺がこのクラブに来たことに興味を持ってくれていた。チャンスがあれば日本に来たい、なんていうやつもいたよ」

 連絡を寄こしたのは、おそらくサッカー界の第一線でともにプレーした、あるいは対戦した盟友たちだろう。ビジャの神戸入りは、世界有数の選手にとっての関心事であり、それほどのビッグディールだった。

 オファーが届いたのは、ちょうどニューヨーク・シティFCでのシーズンが終わる頃、「もうニューヨークでは続けない決断をした、ちょうどその時だった」という。

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