ガンバ大阪、驚愕の9連勝。指揮官、宮本恒靖が明かす「快進撃の舞台裏」

2018年11月28日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「指揮官ツネ」のイズムに迫る!【後編】

戦略家として、モチベーターとして。トップレベルで初めて監督を務めた宮本恒靖は、試合を重ねながらその天賦の才を随所で発揮していった。写真:川本学

 拮抗したゲームをひとつずつ制しながら、勝ち星を重ねていった。ひとつとして楽に勝てたゲームはなかったと、宮本恒靖は振り返る。

 そのなかで、指揮官が初めて"残留"への手応えを実感できた瞬間があったという。当時首位に立っていたサンフレッチェ広島とのホームゲーム。9月29日、ファン・ウィジョの84分の劇的弾で1-0勝利を収めた第28節だ。

「あの広島戦の後半ですかね。選手たちの表情が自信に満ち溢れているのを見て、これなら行けると確信できました。FC東京戦とか札幌戦の後半とかとはまるで表情が違っていたし、次のセレッソとの大阪ダービー(第29節、1-0で勝利)でもさらに感じましたけど、自信を取り戻したなと。その意味でもフロンターレ戦勝利の価値は大きかった。これが良い、これがダメと選手個々には常にポジティブに語りかけていて、ハードワークを重ねていけばきっと結果が付いてくると言い続けていた。それを内容と結果で示せたのがフロンターレ戦だったんです。選手たちのなかにこれをやれば、というなにかが芽生えた」

 
 高宇洋や髙江麗央、中村敬斗らフレッシュな若手が突き上げ、今野泰幸が復帰して遠藤保仁との2ボランチが絶妙なハーモニーを見せる。絶好調のファン・ウィジョに釣られてアデミウソンもトップフォームを取り戻し、渡邊千真と小野瀬康介のニューカマーが存分に個性を発揮。そして東口順昭と三浦弦太が森保ジャパンで出場を重ね、大いなる自信を携えてチームに戻っては、小さくない刺激を与えた。

 大小のグッドニュースすべてをチームの駆動力へと転換させたのは、指揮官ツネの手腕によるところだ。ゲーム終盤で投入するカードがことごとく当たったのも然り。監督としての才覚をどんどん開花させていった。

「一度たりとも安心した瞬間はなかったですね。選手たちは僕らが建てたゲームプランを理解して本当によく働いてくれたし、途中から出場する選手も意図を汲んで見事な仕事をしてくれた。でも、ひとつ終わったら次。どこに相手の隙があり、どこで自分たちの強みを出していくのか。連勝しててもそれしか考えてなかったですね」

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