川崎を連覇に導いた攻撃ユニット「BIG4」。なかでも光った阿部浩之の働き

2018年11月12日 佐藤俊

大久保、齋藤らが加わり、レギュラー競いが激化したが、阿部は意に介さなかった

迫力のある攻撃ユニットのなかで、いぶし銀の働きをしていたのが阿部だった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 川崎フロンターレが連覇を達成した。

 セレッソ大阪に敗れるもサンフレッチェ広島が負け、2試合を残して優勝、最大勝点差13をひっくり返した粘り強さが際立った。
 
 強さと魅力はリンクするが、今季は目に見えて守備力が向上し、失点は現在26点。昨年は32失点で、2試合を残しているもののチーム史上最少の失点になりそうで、これが優勝の一因であることは間違いない。
 
 だが、川崎の魅力は、やはり攻撃力だ。
 ボールを握り倒し、変幻自在、臨機応変に相手を攻め倒す「成熟した攻撃」なくして連覇はあり得なかっただろう。
 
 特に小林悠、中村憲剛、家長昭博、阿部浩之ら"BIG4"の攻撃のユニットは昨年以上に連係の精度が高まって迫力が増し、見ていて非常に楽しかった。実際、この4人で32得点と、全体の7割近いゴール数を上げている。そのなかでいぶし銀的なプレーを見せていたのが、阿部だ。
 
 昨シーズンの入団当初は友人がおらず、川崎のチームスタイルに馴染むことができず、怪我にも泣かされた。だが、6月の清水戦で初ゴールを挙げると徐々にチームにフィット。サイドハーフ、トップをこなし、最終的には28試合・10得点とキャリアハイの成績を残し、川崎の初優勝に貢献した。
 
 今シーズンは、攻撃のユニットの連係が深まり、さらなる活躍が期待されたが、大久保嘉人、齋藤学ら攻撃陣が加わり、レギュラー競いが激化した。それでも阿部は、「タイトルを獲るために必要なこと」と意に介していなかった。競争相手を意識するよりも自分の昨年の結果に自信を持ち、今年はさらにいいスタートが切れると確信していたからだ。
 
 序盤はベンチスタートもあり、チームも波に乗れなかったが、個人的に調子は悪くなかった。夏からチームが登り調子になると阿部もさらにギアが入った感があったが、それは体重が落ちる夏もしっかりとコンディションを整えていたためだ。
 
「コンディション維持のためには食事がめちゃ大事。特に夏場、彰吾(谷口)とか2、3キロ落ちるというけど、僕はぜんぜん落ちないです。夏でも食べるのは苦にならないし、逆に増えたりもします。お米が好きでいつもは茶碗にちょっと盛る感じですが、試合前は大盛やし、肉、魚、野菜もどれかひとつじゃなく全部摂っています」

次ページゴール数は昨シーズンより減ったが、貢献度はむしろ今シーズンのほうが高い

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