「ブッフォンの後継者」ドンナルンマはアッズーリ復権の象徴。超えるべき課題は?

2018年10月09日 片野道郎

2年前の試合はまるで「襲名披露」だった。

19歳にしてイタリア代表の守護神に伸し上がったドンナルンマ。60年ぶりにW杯出場を逃したアッズーリの復権において最重要人物だ。(C)Alberto LINGRIA

 アッズーリのゴールマウスを20年近く守り続けた偉大なレジェンド、ブッフォンと同じジャンルイジという名前は、彼にちなんで付けられたものではない。しかし、サッカー史上最高のGKと同名という偶然はそれ自体、運命的な何かを感じさせる。
 
 ジャンルイジ・ドンナルンマはそのブッフォンよりも1年早い16歳でトップチーム・デビューを果たした、誰もが認める早熟の大器。現在まだ19歳という若さにもかかわらず、すでにミランの守護神としてセリエA3シーズンを戦った経験を持ち、イタリア代表でも長年の懸案だったブッフォンの後釜に、これ以上ないほど自然な形で収まった。
 
 2016年9月1日、フランスとの親善試合で後半からブッフォンと交代でピッチに送り出すというジャン・ピエロ・ヴェントゥーラ監督(当時)の演出は、あたかも後継者の座を約束する「襲名披露」のようですらあった。
 
 あれから2年――。40歳を迎えたブッフォンが代表を退いたのに伴い、ロベルト・マンチーニ新監督の下で正真正銘の正守護神として、新たに創設されたUEFAネーションズ・リーグに挑んでいる。
 
 UEFAカントリーランキングの上位12か国が3チームずつ4グループに分かれてホーム&アウェーを戦うこの新コンペティションは、グループ1位になれば4チームによる決勝トーナメントへ進出し、3位に終われば2部リーグに当たるリーグBに降格というシビアなフォーマット。ポルトガル、ポーランドという強敵と同居したイタリアにとっては、2年後のEURO2020、そして4年後のワールドカップに出場し、主役の座に返り咲くための第一ステップとして非常に重要な位置を占める。
 
 今夏の段階でA代表キャップがまだ6試合、クラブでのインターナショナルマッチも昨シーズンのヨーロッパリーグ11試合のみと、国際舞台での経験がまだ浅いドンナルンマにとっても、国の威信を懸けた厳しい真剣勝負の場に立つ初めての機会。9月8日のポーランド戦(△1-1)、同11日のポルトガル戦(●0-1)ではいずれも1失点したものの、安定したセービングを見せ、現地メディアからはいずれチーム最高評価を受けた。
 

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