スアレス、レバンドフスキ、イグアインらはなぜゴールが奪える? 「ストライカー」に必要なフィジカルとメンタル

2017年01月23日 片野道郎

4大リーグにトップクラスのストライカーは10人いるかいないか。

昨シーズンにセリエA新記録の36ゴールを挙げたイグアインは、今シーズンから新天地を求めたユベントスでも決定力の高さを見せ付けている。写真:Alberto LINGRIA

 ストライカーの仕事は、ゴールを決めること、すなわちチームが作り出した攻撃のアクションをフィニッシュすることにある。
 
 これは決して簡単なタスクではない。実際、毎年のように4大リーグでコンスタントに15~20ゴール、あるいはそれ以上の数字を叩き出すトップクラスのストライカーは、ヨーロッパを見回しても10人いるかいないかというところだ。
 
 具体的に名前を挙げれば、プレミアリーグではジエゴ・コスタ(チェルシー)、ズラタン・イブラヒモビッチ(マンチェスター・U)、セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・C)、リーガ・エスパニョーラではクリスチアーノ・ロナウド(R・マドリー)、リオネル・メッシ(バルセロナ)、ルイス・スアレス(バルセロナ)、セリエAではゴンサロ・イグアイン(ユベントス)とマウロ・イカルディ(インテル)、ブンデスリーガではロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)、ピエール=エメリク・オーバメヤン(ドルトムント)くらいのものだろう。
 
 彼らは今シーズンもウインターブレイクを迎えた時点ですでに二桁ゴールを挙げ、各リーグの得点王ランキング上位に名を連ねている。
 
 一流のストライカーにはどんなフィジカル、メンタルの資質が求められるのか。それを考える上で、まずは彼らの間にどんな共通点があるのか整理してみよう。
 
 体格的なプロフィールに関して言えるのは、数少ない例外を除くと身長は180センチを大きく上回る大柄な体格のプレーヤーが多いということ。しかし、それが絶対条件とは言えないことは、メッシ(170センチ)、アグエロ(173センチ)のように小柄なストライカーがゴールを量産していることからも明らかだ。
 
 では、フィジカル的な共通点はどこにあるのだろうか。それを見出す上では、一度視点を変えて「ゴールはどのようにして生まれるのか?」について考えて見る必要がありそうだ。
 
 トラッキングシステムなどテクノロジーの発達によって最近大きく進歩したサッカーのビッグデータ分析は、セットプレーを除くオープンプレーからのゴールのうち4分の3は「ホットゾーン」と呼ばれるゴール前中央のゾーンからのシュートによって生まれることを示している。
 
 具体的には、2本のゴールポストを結んだ線を短い底辺、ペナルティースポットと同じ高さ(11メートル)にゴールエリアの幅と同じ長さ(18.32メートル)で引いた直線を長い底辺とする台形に囲まれたゾーンがそれだ。
 

次ページホットゾーンに入り込む方法は2つある。

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