【セリエA前半戦総括】サプライズはミラノ勢とアタランタ。ベスト11は新鮮な顔触れに!

2016年12月27日 片野道郎

イグアインとピャニッチを取り込むのに苦労しながらも…。

盤石とは言い難い戦いぶりながら、しっかり首位をキープするユーベ。後半戦はさらなる連携向上が見込めるだけに、このまま独走態勢を築くか? 写真:Alberto LINGRIA

 ユベントスが首位を走り、ローマとナポリがそれを追うという構図は、開幕前の下馬評とまったく同じ。その意味で、少なくとも首位戦線に関しては波乱の少ない前半戦だったと言えるかもしれない。
 
 とはいえ、12月17日の17節に4ポイント差まで迫っていた2位ローマとの直接対決を制し、折り返し点まで2試合を残して「冬のチャンピオン」(前半戦首位)を決めたユーベは、前半戦を通して首位の座を守ったとはいえ、その戦いぶりは必ずしも説得力があるものではなかった。
 
 直接のライバルであるローマ、ナポリからミラレム・ピャニッチ、ゴンサロ・イグアインという絶対的なキープレーヤーを引き抜いた今夏の補強を考えれば、内容・結果ともに圧倒的な強さを見せつけて首位を独走するというシナリオが期待されたのは当然だ。
 
 しかし、序盤戦のユーベはその2人の新戦力がなかなかチームのメカニズムと噛み合わず、最後には力ずくで得点を奪って勝利をもぎ取るものの、内容的には消化不良の試合が続いた。
 
 イグアインは当初、2トップを組むパウロ・ディバラとの連携が機能せず前線で孤立する場面が目立った。数少ないチャンスを強引にねじ込むストライカーとしての絶対能力の高さを発揮し、ゴールだけは着実に積み上げたものの(ここまで公式戦通算で13得点)、チーム戦術の中で機能しているという印象は乏しかった。
 
 一方のピャニッチも、タッチ数の多いプレースタイルが縦への展開スピードが速いユーベのサッカーと噛み合わず、ローマ時代のように質の高いパスを前線に送り込んで決定機を作り出す場面はほとんど見られない。
 
 戦力的には、中盤でゲームを作るキープレーヤーであるクラウディオ・マルキージオが、昨シーズン終盤に被った膝の怪我を引きずって11月末まで欠場し、また攻撃の要ディバラも10月下旬に筋肉系の故障で離脱。さらに最終ラインもレギュラー陣が入れ替わり立ち替わり故障で戦列を離れるなど、ベストメンバーが揃わずメンバーを固定して戦えなかったことが、チームの完成度向上を遅らせる大きな原因となった。
 
 マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、11月27日の14節でジェノアに0-3の完敗を喫した後、過去2シーズンの基本システムだった3-5-2に手を入れ、前線をイグアインとマリオ・マンジュキッチのダブルCFとし、トップ下にピャニッチを置いて、最終ラインを4バックとする4-3-1-2を導入するなど試行錯誤を繰り返しているが、今なおチームの最終形は見えていない。
 
 にもかかわらず、ここまで17試合を14勝3敗という成績で乗り切り、首位の座を確固たるものにしているところは、絶対的な戦力の高さに加えてアッレグリ監督のチームマネジメント手腕の高さだろう。

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