【ミラン番記者】本田圭佑はモンテッラにとってもはや「透明人間」だ

2016年12月22日 マルコ・パソット

濃い霧が立ち込める凍てつくような寒さのサン・シーロで…。

アタランタ戦で本田は、今シーズンで11回目の出番なしに終わった。写真:Alberto LINGRIA

 何もできなかった。今回もなにも……。
 
 選手とポジションを交代させることで、ほぼ全員を巻き込んでチームを回すことに成功しているミランの指揮官ヴィンチェンツォ・モンテッラだが、そのサイクルの中から本田圭佑はまたも疎外された。
 
 12月17日のアタランタ戦(セリエA17節)では、また「出場時間0分」に逆戻り。今シーズンでもう11試合目という、今やお馴染みの光景だ。
 
 濃い霧が立ち込める凍てつくような寒さのサン・シーロで、ベンチにうずくまりながら本田は、またいつもと同じ質問を自分に投げかけていたはずである。
 
「どうすればいいのだろうか?」
 
 そして、その答えもいつもと同じ――。慰めにすらならないものである。愚弄されたかのような苦さは今も口の中に残っている。
 
 前節のローマ戦、モンテッラは本田のスタメンを匂わせ、久々に先発出場のチャンスを得るかに見えた。しかし、実際に左ウイングで先発したのはエムバイ・ニアングだった。
 
 指揮官はキックオフの数時間前に考えを変え、誰もがいつものポジションに戻ってしまった。スソ=右サイド、ニアング=左サイド、本田=ベンチ……。
 
 ほとんど人間は、この采配に同じような理由をつけて納得したはずである。モンテッラが最後の最後に考えを変えたのは、戦術的な観点からだと。ローマの強靭なSBアントニオ・リュディガーと対峙するには本田より、ニアングの方が適している、と。
 
 しかし同時に、ニアングがここ1か月以上、本来のキレを失っているのも事実である。このフランス人アタッカーは、11月頭のパレルモ遠征をインフルエンザで欠場し、それ以降も明らかに疲れが目立っていた。
 
 とはいえ、それも情状酌量の余地がある。病欠は別として、ニアングはプレシーズンマッチからここまでずっと先発出場を続けてきた。息切れしてくるのは当然であり、ターンオーバーで休ませることを考えて然るべき時期だ。
 
 ローマ戦が無理だったならば、次のアタランタ戦で――。そう、モンテッラもそれは分かっていたのだろう。実際、ニアングはこの試合でベンチスタートだった。

次ページ代役が必要な緊急事態でも、モンテッラの目に本田は映らない。

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