【松本】「百戦錬磨の指揮官」反町康治の流儀――何度かこの仕事から足を洗おうと思ったことがある

2016年07月27日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

テーマ1:前半戦を振り返って――完成度を数字で示すなら60~70パーセントぐらいだろうか。

『サッカーダイジェスト』誌のインタビューを受ける反町監督。今季の戦いぶりや16年目に突入した監督生活について語ってくれた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグで采配を振るった試合は、気付けば500を超えていた。だが、百戦錬磨の指揮官はそうした数字に一切興味がなければ、来年のこともまるで考えていない。ただ「次の試合」だけを見据える反町康治監督が、今季の山雅の戦いぶりや日本サッカーの未来など、4つのテーマについて語った。
 
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 昨年の課題や反省など、いろんなものを踏まえて、今年をスタートさせた。1か月半の準備期間で全部を壊して、ゼロからチームを作り上げることも考えていた。中盤をダイヤモンド型にした4-4-2に変えようか、と。理由は、日本であまり成功した例がないから。
 
 でも、1か月半ではやはり時間が足りなかった。それなら、半分を壊して新しくする。つまり、守備組織はあまりいじらずに、攻撃の部分に手を加える。トレーニングのウェイトも、守備6と攻撃4だったのを逆の割合にしてやってきた。
 
 攻撃面で強調したのは、相手陣内にどうやって入るか。つまりビルドアップだ。相手陣内でプレーするには、まずはそこに入る方法を考えなければならなかった。
 
 センターラインをどう越えるか。相手陣内に入った時、すぐに次のアクションを起こしたり、ラストパスを出せたりと、そういう状況を作りたかった。そのためには、ボールを浮かして運ぶより、グラウンダーでパスを通す、またはドリブルで入って行ければ、ルックアップした状態でスムーズに攻撃を仕掛けられる。
 
 形になるまでは多少、時間がかかったし、その分、序盤戦の成績はあまり良くなかった。少しずつ課題を消化していき、それと同時にやはり守備も改善せざるを得ない部分が出てくるなかで、ゲームを重ねながら、軌道に乗せてきた感じだ。
 
 やろうとしていることが整理されて、ボールを保持できる選手も増えたから、攻撃に強弱をつけられるようになった。サッカーがグレードアップしたというか、する必要があった。そうでなければ、俺が監督を続けている意味がないから。チームの完成度を数字で示すとしたら、60~70パーセントぐらいだろうか。

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